Description of a work (作品の解説)
2008/11/30掲載
Work figure (作品図)
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キリストの生涯(磔刑・最後の晩餐・キリストの降誕)


(La vie du Christ) 1918年頃 | 各部による | グワッシュ・紙
プリウレ美術館(サン=ジェルマン=アン=レ)

ナビ派の中で最大の宗教画家でもあったモーリス・ドニの傑作『キリストの生涯(磔刑・最後の晩餐・キリストの降誕)』。画家が住んでいたプレウリの礼拝堂の中央大窓のステンドグラス用の画稿として制作された本作は、神の子イエスがベツレヘムの厩で生まれる場面≪キリストの降誕≫、主イエスが逮捕される晩の食事の前に自分を裏切ろうとする者を指摘する場面≪最後の晩餐≫、受難者イエスがゴルゴダの丘で2人の盗人と共に磔刑に処されるという教義上最も重要視される場面≪キリストの磔刑≫と、主イエスの生涯を最も重要な三場面で構成した祭壇画の原図である。下段(215×232cm)の≪キリストの降誕≫では中央に慈しみの笑みを浮かべながら降誕したばかりの幼子イエスを抱く聖母マリアを配し、その周りを羊飼いや天使らが囲みながら礼拝している。幼子イエスは両手を挙げ周りに集まる者たちを祝福し、自身も神々しい光に包まれている。さらに右上には絵筆や調色板(パレット)を手にした画家自身の姿も描き込まれている。中段(155×235cm)には弟子達に「これは私の肉であり血である」と話しながらパンと葡萄酒を与える主イエスが配され、左右と前景には聖マタイや聖ヨハネを始めとした弟子らが思い思いの感情を抱きながら祈りを捧げている。さらに画面右上端には不吉で欺瞞的な視線を主イエスに向ける裏切り者ユダの姿が描き込まれている。そして上段(219×233cm)には磔刑に処され死した受難者イエスの姿と悲痛な表情を浮かべる聖母マリアが中央に描かれ、さらに十字架に掲げられるイエスの足下へは感情を高ぶらせながら縋りつくマグダラのマリアが、さらにその周囲には主イエスの死を悲しむ数え切れないほどの民衆が描かれている。何れの場面も純化された多様的な色彩と清潔で明確な輪郭線によって象徴的に構成されており、近代的でありながら宗教的な精神性の高さを存分に感じさせる。


【全体図】
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死せる受難者イエスと悲痛な表情を浮かべる聖母マリア。画家が住んでいたプレウリの礼拝堂の中央大窓のステンドグラス用の画稿として制作された本作は、≪キリストの降誕≫、≪最後の晩餐≫、≪キリストの磔刑≫と、主イエスの生涯を最も重要な三場面で構成した祭壇画の原図である。



【受難者イエスと聖母マリアの姿】
弟子達に聖体を与える主イエス。「これは私の肉であり血である」と話しながらパンと葡萄酒を与える主イエスが配され、さらに画面右上端には不吉で欺瞞的な視線を主イエスに向ける裏切り者ユダの姿が描き込まれている。



【弟子達に聖体を与える主イエス】
両手を掲げる幼子イエスの神々しい姿。十字架に掲げられるイエスの足下へは感情を高ぶらせながら縋りつくマグダラのマリアが、さらにその周囲には主イエスの死を悲しむ数え切れないほどの民衆が描かれている。



【両手を掲げる幼子イエスの神々しい姿】

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