Description of a work (作品の解説)
2008/10/28掲載
Work figure (作品図)
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キリストの墓を訪れる聖女たち


(Saintes femmes au tombeau) 1894年
74×100cm | 油彩・画布 | プリウレ美術館

ナビ派の重要な画家モーリス・ドニ初期を代表する宗教画作品のひとつ『キリストの墓を訪れる聖女たち』。本作は磔刑に処されゴルゴタの丘の墓に葬られた主イエスが復活を遂げたことを、墓上へ現れた天使がマグダラのマリアを始めとした三人の聖女へ聖告する逸話≪キリストの墓を訪れる三人のマリア(キリストの墓を訪れる聖女たち)≫と、主イエスの聖体が消えた墓の傍らで途方に暮れ涙を流していたマグダラのマリアの後ろに突如、復活した主イエスが現れ、マリアが主の存在に気付いて近寄ろうとするも、主イエスから「我に触れるな」と窘められたとされる逸話≪ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)≫の二つの主題が描かれた宗教画作品である。画面前景右側には三人の聖女とひとりの少女を、画面左側には主イエスの復活を告げる天使らを配し、キリストの墓を訪れる三人のマリアを主題とした場面が展開しているものの、その場面描写は日常で再現されているかのように現実的である。また画家が深く愛していた妻マルトと共に過ごしたサン=ジェルマン=アン=レの果樹園や小さな家々が描かれる画面遠景中央では、神々しい光を放つ復活した主イエスが「我に触れるな」と、跪くマグダラのマリアを窘めている。このような日常的生活の中に宗教的精神性を表現したドニの神秘的で独自性豊かな宗教画には、敬虔なキリスト教徒としての態度が明確に示されている。また表現手法に注目してみても、前景の登場人物らを縁取る目にも鮮やかな黄色や光を反射する家々の黄色(暖色)と、大地の深く多様的な青色や緑色(寒色)との色彩的対比や、平面的で構成的な対象表現はナビ派としての画家の高い力量を存分に感じさせる。


【全体図】
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キリストの墓を訪れた聖女たち。本作は福音書に記される≪キリストの墓を訪れる三人のマリア(キリストの墓を訪れる聖女たち)≫と、≪ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)≫の二つの主題が描かれた宗教画作品である。



【キリストの墓を訪れた聖女たち】
画家が深く愛していた妻マルトと共に過ごしたサン=ジェルマン=アン=レの果樹園。画面前景ではキリストの墓を訪れる三人のマリアを主題とした場面が展開しているものの、その場面描写は日常で再現されているかのように現実的である。



【サン=ジェルマン=アン=レの果樹園】
主イエスから「我に触れるな」と窘められるマグダラのマリア。本作のような日常的生活の中に宗教的精神性を表現したドニの神秘的で独自性豊かな宗教画には、敬虔なキリスト教徒としての態度が明確に示されている。



【イエスの前で跪くマグダラのマリア】

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