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茨の冠のキリスト (The Crowning with Thorns) 1620年頃
223×196cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
稀代の早熟を示した画家ヴァン・ダイク初期の代表的な宗教画作品のひとつ『茨の冠のキリスト』。本作の主題は、新約聖書キリストの受難より、ピラト総督によって笞打ちの刑に処された後に、兵士たちから茨の冠を被せられ激しく嘲笑される場面を描いた≪茨の冠≫で、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノによる同主題の作品『茨の冠』に強い刺激と感銘を受け制作された。本作において最も驚くべきことは、若干20歳そこそこの若者の手による極めて高度な場面の表現力であり、確かな描写力と豊かな感情表現は、このアントウェルペン出身の若者の成功を十分に予感させるものであった。また本作は後に工房に入ることになる同郷の大画家ルーベンスに贈られた。
関連:ティツィアーノ作『茨の冠』
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