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サンタ・クルス侯爵によって奪還されるジェノヴァ
(Socorro a Génova del marqués de Santa Cruz)
1634年 | 290×370cm | 油彩・画布 | プラド美術館 |
17世紀マドリッドで活躍した画家アントニオ・デ・ペレーダ前半生の代表作『サンタ・クルス侯爵によって奪還されるジェノヴァ(ジェノヴァ救授)』。本作はオリバーレス公伯爵からの依頼によってブエン・レティーロ宮≪諸王国の広間≫の装飾画として、巨匠ベラスケスや大画家スルバランら当時活躍していた画家が参加し制作された歴史画作品群のひとつで、1625年、リシュリュー枢機卿の支援を受けるサヴォイア公の軍隊に奪取された、スペインと同盟を結んでいたジェノヴァ共和国を、サンタ・クルス侯爵アルバロ・デ・バサーンが軍隊を率いジェノヴァを解放した時事≪ジェノヴァ救授≫を画題に描かれている。熱狂的に民衆から歓声を集める大規模なスペイン軍艦隊と共に、画面中央でジェノヴァ総領の謝辞を受ける甲冑に身を包んだサンタ・クルス侯爵アルバロ・デ・バサーンの姿は、侯爵自身がスペインの輝かしい歴史を表現するかのように堂々とした振る舞いで、勇ましさと尊厳に満ちている。本作に示される細部まで丹念に描き込まれる質感の描写や、優雅で濃密な自然主義的な表現に、フランドル派の精密な描写やヴェネツィア派の影響を感じさせる。
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