Description of a work (作品の解説)
2007/03/15掲載
Work figure (作品図)
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無原罪の御宿り

 (Inmaculada Concepción) 1618年頃
135×102cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

17世紀スペイン絵画最大の巨匠ディエゴ・ベラスケス初期の代表的な宗教画作品『無原罪の御宿り』。同時期に制作された『パトモス島の福音書記者聖ヨハネ』と対画であることが知られる本作に描かれる主題は、神の子イエスの母である聖母マリアが、マリアの母(イエスの祖母)アンナの胎内に宿った瞬間、神の恩寵により原罪から免れたとする、最初は東方で唱えられ、神学者の間で盛んに議論された後、19世紀半ばの1854年にようやく法王庁より公認された教理≪無原罪の御宿り≫で、画家の師であり義父でもあるフランシスコ・パチェーコ(ベラスケスはパチェーコの娘と結婚した為)が執筆したスペイン最初の本格的な美術書である『絵画芸術論』に基づくイコノグラフィー(図像学)的展開が如実に示されている。本主題≪無原罪の御宿り≫は聖三位の一位である神の子イエス、その聖器の聖母マリア、聖母マリアを生んだ母アンナそれぞれの関係性により、本作が制作された当時は公認されていなかったものの、スペインでは非常に人気が高かった主題で、『パトモス島の福音書記者聖ヨハネ』と共にセビーリャのカルメル会修道士修道院の祭壇画として手がけられたと推測されている。本作に示される聖母マリアの頭上に輝く12の星々、純潔を表す若々しい乙女のような面持ち、胸のあたりで両手を合わせる仕草、偉大なる天上の力を表現した聖母マリアの背後の威光、足許の下弦の月などの図像展開は、厳しい明暗対比を用いた非常に写実性の高いベラスケス独特の描写によって実直に表現されている。


【全体図】
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幼い面持ちの聖母マリア。同時期に制作された『パトモス島の福音書記者聖ヨハネ』と対画であることが知られる本作に描かれる主題は、神の子イエスの母である聖母マリアが、マリアの母(イエスの祖母)アンナの胎内に宿った瞬間、神の恩寵により原罪から免れたとする教理≪無原罪の御宿り≫である。



【幼い面持ちの聖母マリア】
胸のあたりで両手を合わせる仕草。本作はベラスケスの師であり義父でもあるフランシスコ・パチェーコ(ベラスケスはパチェーコの娘と結婚した為)が執筆したスペイン最初の本格的な美術書である『絵画芸術論』に基づくイコノグラフィー(図像学)的展開が如実に示されている。



【胸のあたりで両手を合わせる仕草】
聖母マリアの足許の下弦の月。聖母マリアの頭上に輝く12の星々、純潔を表す若々しい乙女のような面持ち、胸のあたりで両手を合わせる仕草、偉大なる天上の力を表現した聖母マリアの背後の威光、足許の下弦の月などの図像展開は、厳しい明暗対比を用いた非常に写実性の高いベラスケス独特の描写によって実直に表現されている。



【聖母マリアの足許の下弦の月】

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