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黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ
(San Joaquín y Santa Ana arrodillados ante la Puerta)
148×83cm | 油彩・板 | 王立サン・フェルナンド美術学校 |
16世紀後半セビーリャ美術界の巨人フランシスコ・パチェーコ作『黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ』。画家が活躍したセビーリャのサン・エルメネヒルド学校のために制作された作品である本作に描かれている主題は、≪黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ≫であるが、20世紀に入るまでは、マドリッドやその近郊で厚い信仰を受けた農夫聖イシドロと、聖マリア・デ・ラ・カベーサであると考えられていた。本作の厳しく深い明暗対比や実直な写実的描写は、画家の固定化された絵画理念をよく示している。本主題≪黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ≫を大まかに説明すると、妻アンナと結婚して20年間、子供を授かることが無かったイスラエル十二部族のひとりヨアキムであったが、ある年、子供を授かる為に妻アンナは小間使いと共に庭で祈りを捧げ、ヨアキムは祭日に通年の2倍の供物(羊又は銀貨)を捧げようとエルサレムの神殿へ向かう。しかしヨアキムは神殿から拒まれ、失望し40日間荒野で羊に囲まれながら断食をしていると、ヨアキムのもとへ現れた天使(大天使ガブリエルとされる)によって妻アンナの懐胎を告げられると、急いで帰路に発つ。一方、妻アンナのもとへも天使が現れ、娘マリアの誕生を聖告すると、妻アンナはヨアキムを迎えに発つ。二人は金門で出会い、受胎を喜び抱擁し合い接吻するという場面で、金門は旧約聖書の預言者エゼキエルが語った「閉ざされた門」であり、この主題は聖母マリアの処女性の象徴を示したものだと考えられている。
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