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聖イシドロと井戸の奇蹟 (San Isidro, milagro del pozo)
1646-1648年頃 | 216×149cm | 油彩・画布 | プラド美術館 |
17世紀にセビーリャやマドリッドで活躍した画家アロンソ・カーノの代表作『聖イシドロと井戸の奇蹟』。画家が1638年から移り住んだマドリッドの地で手がけられた本作は、1070年に生まれたとされる文盲ながら信仰深いマドリッド近郊の貧農夫、聖イシドロ(聖イシドロス)が起こした奇蹟の話のひとつ、井戸で溺れ死にかけていた子供を救った逸話≪聖イシドロと井戸の奇蹟≫を主題に描かれた作品で、アロンソ・カーノの堅固な質量感に富んだ彫刻的な人物造形描写の中に、同地で触れ学んだイタリア絵画の柔らかい質感による描写やフランドル絵画からの影響が示されているのが大きな特徴である。また本主題の登場人物が示す清貧の描写が自然主義的な観点から捉え描かれている点や、画面全体を包む独特の雰囲気に兄弟子ベラスケスの影響が示される点なども注目に値する。聖イシドロはマドリッドとその近辺のイエスズ会や、ティロル地方の農村などで厚い信仰を受けた聖人で、農民や小作人の守護聖人として知られている。
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