2007/03/04掲載
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天文学者(Astronoom) 1668年頃50×45cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) 関連:フェルメール作 『地理学者』
天球儀に手を添える天文学者。複数の研究者から異論も唱えられているものの、おそらくは翌年頃に描かれた『地理学者』との対画、又は連作であったと考えられる本作は、フェルメールが明確に風俗画を描き出した1657年頃以降の作品では非常に珍しい女性が描かれず、男性のみが登場する作品である。
【天球儀に手を添える天文学者】
1660年代中頃までの作品と比べ、やや明度が増す光の表現。天球儀や天文学者の上半身、そして画面手前の机から垂れるタペスリー上部を照らす、窓から射し込む柔らかい光の表現は今までの作品と比べ、やや明度が増しているも、フェルメールの特徴的な調和と絶妙な均整性は失われていないのがわかる。
【今までと比べ、明度が増す光の表現】
独立的で装飾的な光の粒。天文学者の纏う厚ぼったいガウンに見られる複雑なウエット・イン・ウエットを用いた描写法や、タペスリー上部に散乱する独立的で装飾的な光の粒の描写は、画家の技巧的表現への傾倒を感じさせる。
【独立的で装飾的な光の粒】 |