2007/03/04掲載
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地理学者(Geograf) 1669年頃53×46.6cm | 油彩・画布 | シュテーデル美術館 関連:フェルメール作 『天文学者』
地理学者を照らす明瞭な光の表現。複数の研究者から異論も唱えられているものの、おそらくは前年頃に描かれた『天文学者』との対画、又は連作であったと考えられる本作は、フェルメールが明確に風俗画を描き出した1657年頃以降の作品では非常に珍しい女性が描かれず、男性のみが登場する作品である。
【地理学者を照らす明瞭な光の表現】
地理学者が手にするコンパスと書物。本作で最も特徴的なのはは『天文学者』と比べ、より一層明度が高まった、窓から射し込む光の表現で、それは天文学者や手にするコンパス、机上の海図はおろか、木製の箱や椅子、床面まで光が広がっている。
【地理学者が手にするコンパスと書物】
独立的で装飾的な光の粒。地理学者の纏う厚ぼったいガウンに代表される明暗の簡略化された明確な表現は、本作以降の作品に共通する最も大きな特徴のひとつであり、技巧的な変化が顕著に示されている代表的な部分である。
【独立的で装飾的な光の粒】 |