2006/12/10掲載
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窓辺で手紙を読む女(Meisje met brief voor open raam) 1658年頃 83×64.5cm | 油彩・画布 | ドレスデン国立美術館
窓辺で手紙を読む女。本作に描かれるのは、画家が生涯中に多く手がけた画題≪手紙を読む女≫の最初の作品で、現在発見されているそれまでの作品と比較し、空間構成と光と影の表現に劇的な向上が示されている。
【窓辺で手紙を読む女】
恋愛事が記される手紙。X線調査によって画面右上に画中画としてキューピッドの絵が描かれていたことが判明しており、そこから本作で女性が読む手紙の内容が恋愛事で、その表情から女性が望む内容ではなかったと解釈できる。
【恋愛事が記される手紙】
窓に映り込む女性の顔。当時オランダでは一般的であった真横からやや近距離で対象を描く構図を用いながらも、無理のない立体的で自然な空間構成や、開放された窓から射しこむ自然光の柔らかな表現は、女性の複雑な感情を照らし出すかのような白眉の出来栄えを示している。
【窓に映り込む女性の顔】
トロンプ・ルイユ的なカーテン。当初は画面右下にワイングラスが描かれていたも空間構成上それを製作過程で消し去った痕跡が残されるほか、右部分を隠すカーテンは当時のオランダで流行したトロンプ・ルイユ(騙し絵)的な要素を取り入れたものであるとされる。
【トロンプ・ルイユ的なカーテン】 |