2007/05/14掲載
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「信仰」の寓意(Allegorie op het geloof) 1673-75年頃114.3×88.9cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館 関連:ウィーン美術史美術館所蔵 『絵画芸術』 関連:ヤーコブ・ヨルダーンス作 『十字架上のキリスト』
手を胸に当て、天を仰ぐように視線を上方へと向ける≪信仰≫の擬人像。おそらくイエズス会の有力者、もしくは熱心なカトリックの信者からの依頼によって制作されたと考えられる本作は、同宗教に対する≪信仰≫の擬人像を用いた寓意画である。
【手を胸に当て、視線を上げる≪信仰≫】 【擬人像が足を乗せる地球儀】
平面的でパターン化された粒状の光。この如実に示される本作の技巧的・表現的変化に関して、古典主義的な絵画へと傾倒していった当時のオランダでの芸術的流行との関連性も注目すべき点のひとつである。
【平面的でパターン化された粒状の光】
ヤーコブ・ヨルダーンスの『十字架上のキリスト』を簡略化した絵画。床には原罪を象徴する食べかけの林檎が落ちているほか、画面ほぼ中央最下部の蛇や石は、悪の象徴である蛇が石に潰され血を流すことから、悪に対する善の勝利を示している。
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