2007/01/29掲載
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真珠を量る女nbsp;(Perelweegster) 1662-65年頃42.5×38cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー
天秤を見つめる女性。画家の作品の中でも特に小作の部類に属する本作は、画家が数多く手がけた日常を単身女性像と仕草によって描いた風俗画のひとつであるが、特筆すべきはその内容で、画中画や女性の仕草から、この頃の作品には珍しく寓意的なアプローチが示されているのが大きな特徴である。
【天秤を見つめる女性】
女性が手にしバランスが取られる天秤。過去にはこの女性は金貨や真珠を量っているものと考えられていたが、近年の顕微鏡調査によって、天秤には何も乗せられてないことが判明しており、その解釈については諸説唱えられている。
【バランスが取られる天秤】
16世紀フランドルの画家J・ベルガンブ(又はヤコブ・デ・バッケル)が手がけたと推測される画面の1/4を占める『最後の審判』の画中画。また、これまでの明瞭で自然的な光の描写から、やや暗めの光彩を用い、女性の顔や前半身・天秤・真珠・金貨・画中画の右縁など要点となる箇所へ光を強調して描いていることは、注目すべき点のひとつである。
【『最後の審判』が描かれた画中画】 |