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大法官セギエの肖像(宰相セギエの肖像)
(Portrait de chancelier Séguier) 1660-61年(又は1655年頃)
295×351cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) |
フランス古典主義時代を代表する宮廷画家シャルル・ル・ブランの代表作『大法官セギエの肖像(宰相セギエの肖像)』。本作に描かれるのは、早期から画家を庇護し援助していた大法官セギエ(宰相セギエ)が騎乗する姿とその一行である。大法官セギエを中心に、ほぼ同一線上へ配される人物らの安定的な構図や構成、過度な色彩的装飾を抑えた統一的な色彩表現、高度な技術による写実的描写にフランス古典主義の規範的表現が示されている。特に抑制的でありながらも、大法官セギエの人物像と場面的表現に肉薄した色彩の使用は秀逸の出来栄えを見せており、今日でもフランス古典主義時代の代表的な肖像画として広く知られている。騎乗の大法官セギエは黒色の帽子と質の良い豪華な衣服を身につけ、手綱を握りながら観る者の方を向いているほか、セギエが跨る白馬も神話に登場するかのような品が感じられる。またセギエの腰部分の横線上に次官ら(の頭部)が配されており、それぞれセギエを囲みながら傘持ちなど己の任をこなしている。彼らの規範的かつ実直でありながらも、やや甘美性を携えた表情や表現に画家の優れた画才と芸術的感覚を感じさせる。
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