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Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

シャルル・ル・ブラン Charles Le Brun
1619-1690 | フランス | 古典主義・王立絵画・彫刻アカデミー

フランス古典主義時代の宮廷を代表する画家。古典的絵画の表現技法に基づきながら、ニコラ・プッサンの古典様式とイタリア・バロック様式を融合させ、フランス宮廷独自の芸術様式を示し、後にルイ14世様式を確立。フランスにおける諸芸術の規範となった。1619年、彫刻家の息子としてパリに生まれ、1634年頃に当時国内で最も優れていた画家のひとりシモン・ヴーエの弟子となる(この前後頃、フランソワ・ペリエにも師事している)。以後画業を続けながら、1642年、大法官セギエ(宰相セギエ)の援助によって、当時一時的にパリへ帰郷していたニコラ・プッサンの供としてローマへ赴く。ローマではプッサンの影響を大いに受けながらも、アンニーバレ・カラッチなどカラッチ一族やドメニキーノピエトロ・ダ・コルトーナなどイタリア・バロック美術や、ルネサンス三大巨匠のひとりラファエロ・サンツィオの作品に強く感銘を受け、自身の表現様式として精力的に研究・吸収する。1646年、帰国。その2年後に設立された王立絵画・彫刻アカデミーで中心的な役割を果たし、1664年国王首席画家(アカデミー会長)に就任。以後のフランス絵画の合理主義と古典賞賛への最大の導手となった。帰国後のル・ブランは絵画制作のほか、建築、家具、庭園、祭典、(劇の)演出など多岐にわたった諸芸術の活動をおこない、これらの総合的芸術活動は後のフランス美術において重要な指針と規範になる役割を果たした。また画家はルーヴル宮、ヴェルサイユ宮などの壁画・天井画装飾も手がけ、特にヴェルサイユ宮≪鏡の間≫に描かれた『フランドル戦争の開始と勝利』は代表作として知られている。国王からの寵を受けていたル・ブランは永きに渡りフランス宮廷の芸術活動において絶対的権力者として君臨していたものの、晩年は同時代に活躍した古典主義の画家ピエール・ミニャールの台頭によって失墜した。1690年パリで死去。享年71歳。なおル・ブランは1671年国王絵画館長を拝命しており、事実上ルーヴル美術館の初代館長としても知られている。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
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聖家族(聖家族と眠る幼児イエス) 1655年
(Sainte Famille, dite Sommeil de l'Enfant Jésus ou Silence)
87×118cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス古典主義時代の宮廷を代表する画家シャルル・ル・ブラン随一の傑作『聖家族(聖家族と眠る幼児イエス)』。まどろむ幼児イエス、沈黙する幼児イエスとも呼ばれる本作に描かれるのは、聖母マリアと幼子イエスを中心に、聖母マリアの夫ナザレのヨセフやマリアの母アンナや、アンナの夫ヨアキム、洗礼者幼児聖ヨハネ、聖ヨハネを産んだとされる聖母マリアの従姉エリサベツなどを配した≪聖家族≫で、ルネサンス三大巨匠のひとりラファエロ・サンツィオやボローニャ派の巨匠アンニーバレ・カラッチ古典主義最大の画家のひとりニコラ・プッサンらの作例を規範とし、フランス絵画の合理主義と古典賞賛への最大の導手となったフランス宮廷独自の芸術様式の完成形の一例として知られている。聖母マリアの腕の中で微睡する幼子イエスは、後に己が受ける受難を微塵も感じさせない安らかで穏やかな寝顔を浮かべている。その傍らでは聖母マリアが静かにするよう口元に指を当て、反対側ではマリアの母アンナが幼子イエスの御身体が冷えないよう白布を掛けようとしている。鮮明ながら画面全体を優しく包み込む穏やかな光の描写や、ル・ブランの大きな特徴のひとつである多様で繊細かつ力強い色彩による表現は、観る者に本作の聖性と絵画的芸術性を強く感じさせる。聖母マリアの腕の中で眠る幼子イエス中心にしながら、登場人物の多数を左寄りに配し右側部分に空間を置くことによって、画面の中に構図的な運動性を生み出している。

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聖家族(食前の祈り) 1656年
(Sainte Famille, dit Le Bénédicité)
138×89cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス古典主義時代の宮廷画家シャルル・ル・ブランを代表する宗教画のひとつ『聖家族(食前の祈り)』。パリのマレ地区サン=ルイ聖堂礼拝堂の祭壇画として大工同業組合がル・ブランに依頼し制作された作品である本作に描かれる主題は、神の子イエスの降誕を知り、己の地位が脅かされることを恐れたユダヤの王ヘロデがベツレヘムに生まれた新生児の全てを殺害するために放った兵士から逃れるため、エジプトへと逃避した幼子イエスとその家族(聖母マリア、聖ヨセフ)が同国から祖国エルサレムへと帰国する前日の晩餐の場面で、しばしば主イエスが十二人の弟子と共におこなった≪最後の晩餐≫の暗示であると推測される。幼子イエスの義父であり、聖母マリアの夫でもある聖ヨセフは大工の守護聖人としても知られており、大工同業組合の依頼によって手がけられた本作では木槌や鑿(のみ)など大工道具が前景の床に配されているほか、登場人物でほぼ画面の左半分を使用し最も大きく(全身が)描かれている。また神の子イエスが卓上でとっている祈りの姿勢、特に指で示される三角形の形状は、建築芸術の象徴であると考えられているほか、父と子、そして聖霊から構成される三位一体や、世界(宇宙)の構造を示すものであるとの説も唱えられている。

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大法官セギエの肖像(宰相セギエの肖像)
(Portrait de chancelier Séguier) 1660-61年(又は1655年頃)
295×351cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス古典主義時代を代表する宮廷画家シャルル・ル・ブランの代表作『大法官セギエの肖像(宰相セギエの肖像)』。本作に描かれるのは、早期から画家を庇護し援助していた大法官セギエ(宰相セギエ)が騎乗する姿とその一行である。大法官セギエを中心に、ほぼ同一線上へ配される人物らの安定的な構図や構成、過度な色彩的装飾を抑えた統一的な色彩表現、高度な技術による写実的描写にフランス古典主義の規範的表現が示されている。特に抑制的でありながらも、大法官セギエの人物像と場面的表現に肉薄した色彩の使用は秀逸の出来栄えを見せており、今日でもフランス古典主義時代の代表的な肖像画として広く知られている。騎乗の大法官セギエは黒色の帽子と質の良い豪華な衣服を身につけ、手綱を握りながら観る者の方を向いているほか、セギエが跨る白馬も神話に登場するかのような品が感じられる。またセギエの腰部分の横線上に次官ら(の頭部)が配されており、それぞれセギエを囲みながら傘持ちなど己の任をこなしている。彼らの規範的かつ実直でありながらも、やや甘美性を携えた表情や表現に画家の優れた画才と芸術的感覚を感じさせる。

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羊飼いの礼拝 (Adoration des bergers) 1689年
151×215cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス古典主義時代の宮廷画家シャルル・ル・ブランが手がけた宗教画の代表作『羊飼いの礼拝』。本作は画家が当時フランスを統治していた国王ルイ14世のために制作した連作≪キリストの生涯≫の中の1点で、新約聖書ルカ福音書 第2章15-20に記される、神の子イエスを宿す聖なる器として父なる神より選定され、大天使ガブリエルから聖胎したことを告げられた聖母マリアがベツレヘムの厩で神の子イエスを産んだ後、未来のユダヤの王である神の子イエスの降誕を大天使によって告げられた羊飼いたちがベツレヘムの厩へ赴き、その未来の王たる神の子の降誕を礼拝する場面≪羊飼いの礼拝≫を主題とした作品である。宗教画ながらどこか軽やかで、品性と教養に満ちた主題表現や大群衆構成による場面構成、炉辺に灯される火の輝くような光彩による神話画のような神秘的な舞台描写などル・ブランが確立したフランス宮廷独自の絵画様式での宗教画表現の最も優れた表現例のひとつとして本作は今なお人々の眼と心を惹きつけている。特に降誕した幼子イエスや聖母マリアを中心とした光彩は本場面における主題の説明的意図を明確にすると同時に、ベツレヘムの厩で生まれ出でた神の子イエスの聖性や神秘性、(絶対的な)特別性をも的確に表しているほか、観る者の視点を自然と誘導する効果も得られている。また礼拝する羊飼いたちや、神の子イエスの降誕を祝福するために降臨した天使たちの表現も、躍動的で運動性に優れていながら、それによって宮廷様式の特徴のひとつである甘美性や優美性が失われるどころか、むしろ相乗的効果によってより強調されている印象さえ受ける。

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