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1662年の奉納画 (Ex-voto de 1662 (La mère
Cathrine-Agnes Arnauld et la sœur Cathrine de sainte Suzanne Champaigne))
1662年
165×229cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) |
フランス古典主義の画家フィリップ・ド・シャンパーニュの代表作『1662年の奉納画』。正式な名称は『女子修道院長アトリーヌ・アニュス・アルノーと画家の娘の修道女カトリーヌ・ド・サント・スザンヌ』とする本作は、画家の娘でポール・ロワイヤル・ド・パリ修道女であったカトリーヌ・ド・サント・スザンヌが難病に陥り、医師からも絶望視される中、女子修道院長アトリーヌ・アニュス・アルノーが9日間祈祷したことで病が完治したという奇跡に娘の父フィリップ・ド・シャンパーニュが感謝し、同修道院へ献上するために描いた作品である。画面中央から右部分には足掛けのある椅子に、難病により高熱と半身不随になった修道女カトリーヌ・ド・サント・スザンヌが座り、その膝の上には(おそらく聖遺物の納められる)箱が乗せられている。また画面ほぼ中央には祈祷する女子修道院長アトリーヌ・アニュス・アルノーの姿が描かれ、画面全体は(天上からの聖なる光を思わせる)穏やかで優しさに溢れた光で満ちている。さらに画面左部分には、この奇跡的な出来事を記した銘文が配されている。当時、ポール・ロワイヤル・ド・パリ修道院は禁欲的な改革を支持していた為、国王及びイエズス会から不興を買い迫害を受けていたものの、この奇蹟は(一時的であるが)迫害を抑止する出来事ともなり、そのような歴史的背景からも、本作のもつ意味は重要視されている。
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