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ソロモンの審判 (Jugement de Salomon) 1649年
101×150cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) |
17世紀フランス古典主義最大の巨匠ニコラ・プッサン自らが「最もよく描けた」と述べたとされる代表作『ソロモンの審判』。本作に描かれる主題は、旧約聖書 列王記(上)3:17-28に記される同じ家に住む二人の娼婦がそれぞれ子供を産むが、ある夜、片方の娼婦が誤って子供を窒息死させてしまうと、もう片方の娼婦の子供を奪い自分の死した子供と取り替えてしまい、娼婦らの間に争いがおき彼女らが法廷に訴えると、生きている子供を剣で斬り半分づつ分けるよう命じた師士ダヴィデの末子で父と同様、師士に就いたソロモンが、片方の娼婦はそれに同意する姿を、もう片方の娼婦は子供を生かしてくれるよう懇願する姿を見て、本当の母親(懇願する娼婦)を見抜いたとされる逸話≪ソロモンの審判≫で、生きている子供を剣で斬り半分づつ分けるよう命ずる王ソロモンを中心に、ほぼ左右対称な構成要素の配置による均整的で古典主義的な構図が大きな特徴のひとつである。観る者に対して本場面を容易に理解できるよう、画面下部左側には、両手を大きく広げ今まさに我が子が切り裂かれるのを中止するよう懇願する母親の姿が、画面下部右側には死した子供を抱え、本物の母親を指差し声を荒らげながら醜悪な形相で糾弾する偽の母親が秩序正しく配されている。過度な装飾や場面表現を排し、場面に必要な要素のみを的確かつ明確に配する本作の計算された場面構成はフランス古典主義作品の傑作としても呼び声が高く、今なお人々を魅了し続けている。
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