2007/07/22掲載
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十字架を運ぶキリスト(Jésus portement sa Croix)1651年頃 | 61×126cm | 油彩・板 | ルーヴル美術館(パリ)
自ら十字架を担いゴルゴダの丘を登る受難者イエス≪十字架を運ぶキリスト(十字架を担うキリスト)≫が描かれる本作はパリのサン・ジェルヴェ教会礼拝堂内の祭壇のプレデッラ(祭壇下部に配される横長の装飾画)として制作された。
【十字架を担い丘を登る受難者イエス】
白布をイエスの御前に差し出す聖ウェロニカ。観る者にどこか甘美な感覚や印象を与える本作の、画家が晩年期までに辿り着いた明瞭かつ軽やかでありながら濃密な色彩を感じさせる独特の表現は見事な出来栄えである。
【白布を差し出す聖ウェロニカ】
受難者イエスの苦悶に歪む姿に耐えかね(ローマ兵士らの挑発により)手伝おうとイエスが担う十字架に手を伸ばすキレネ人シモン。本場面は新約聖書の中でも特に劇的で悲愴感に満ちた場面であるものの、本作ではそれらは影を潜め、穏やかかつ静謐性を感じさせる独自の世界観によって表現されている。
【十字架に手を伸ばすキレネ人シモン】 |