Description of a work (作品の解説)
2007/06/12掲載
Work figure (作品図)
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コリオラヌスの前のウォルムニアとウェトゥリア


(Volumnie et Véturie devant Coriolan) 1638年
115×175cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス古典主義時代に活躍した画家ウスターシュ・ル・シュウールの代表的な作例のひとつ『コリオラヌスの前のウォルムニアとウェトゥリア』。本作に描かれるのは古代ローマの歴史家ティトゥス・リウィウス著≪ローマ建国史≫や帝政期ローマのギリシア人著述家プルタルコスによる伝記≪英雄伝≫に記される、同胞に追放された古代ローマの将軍コリオラヌスが、かつて己が打ち倒した敵と組みローマに復讐しようとローマを包囲するも、使者としてコリオラヌスへ訪れたコリオラヌスの母ウォルムニアと、コリオラヌスの妻ウェトゥリアの説得によりその思いを留まらせた場面から、ウォルムニアとウェトゥリアがコリオラヌスに攻撃を止めるよう嘆願する姿≪コリオラヌスの前のウォルムニアとウェトゥリア≫である。画面中央のコリオラヌス、ウォルムニア、ウェトゥリアとその子供らを中心に対角線上に配された登場人物らは、各人とも場面を説明するために大げさな動作や仕草を示しており、主要人物であるコリオラヌス、ウォルムニア、ウェトゥリアは他の者より一段と強い光に照らされ、明確に本場面の役割や存在感を表している。また色彩においても主要人物には一段と鮮やかで濃厚な色彩を用いられているほか、登場人物の対角線の反対に位置する右上の雲空の白色と薄青色と、左下の大地と階段の茶色や黄色は見事な対照性を示している。本作が描かれた1630年代のル・シュウール作品は師であるシモン・ヴーエの様式の影響が色濃く反映されているものの、本作では師の様式より構図的単純化の傾向が示されるほか、画家の豊かな色彩感覚による人物描写は若き画家の才能が表れている。


【全体図】
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母や妻に手を差し出すコリオラヌス。本作に描かれるのは古代ローマの歴史家ティトゥス・リウィウス著≪ローマ建国史≫や帝政期ローマのギリシア人著述家プルタルコスによる伝記≪英雄伝≫に記される場面のひとつである。



【母や妻に手を差し出すコリオラヌス】
息子の手をとるウォルムニア。画面中央に描かれるウォルムニアとウェトゥリアがコリオラヌスに攻撃を止めるよう嘆願する姿は他の登場人物より一段と強い光に照らされ、明確に本場面の役割や存在感を表している。



【息子の手をとるウォルムニア】
夫と視線を交わす妻ウェトゥリア。色彩においても主要人物には一段と鮮やかで濃厚な色彩を用いられているほか、登場人物の対角線の反対に位置する右上の雲空の白色と薄青色と、左下の大地と階段の茶色や黄色は見事な対照性を示している。



【夫と視線を交わす妻ウェトゥリア】

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