2007/11/13掲載
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パリの通り、雨(パリの街角、雨)(Rue de Paris, temps de pluie)1877年 209×300cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所(シカゴ)
傘を差しながらパリの通りを歩く二人の男女。本作で最も特徴的なのは画面前景に描かれる二人の傘を差す男女の姿で、膝から下が描かれないほど近接している。当時としては奇抜ですらあるこの人物の配置と表現は観る者に強烈な印象を与えた。
【パリの通りを歩く二人の男女】
雨で濡れた石畳の路面。本作の雨で濡れた石畳の路面などに見られる反射的な光の表現、孤立的な人物の配置、写真や映画のワンシーンのような大胆なトリミング的構図や画面構成、急激な遠近法の使用などに、画家独特の都会的で近代的な都市生活を強く感じさせる。
【雨で濡れた石畳の路面】
カイユボット独特の急激な遠近法の使用。伝統的な写実的描写手法を用いながら、奥行きと広がりを感じさせる空間構成や、人々の間の絶妙な距離感、雨のパリの街角の独特な緊張感などに、画家の確固たる印象主義的主張が感じられる。
【画家独特の急激な遠近法の使用】 |