Description of a work (作品の解説)
2007/12/17掲載
Work figure (作品図)
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沐浴する女性(湯浴み、髪を洗う女)


(Woman Bathing) 1890-1891年頃
37.1×27.0cm | 多色刷り版画 | ウースター美術館

印象主義時代に活躍した女流画家メアリー・カサットの異色的な代表作『沐浴する女性』。『湯浴み』又は『髪を洗う女』とも呼ばれる本作は、1890年にエコール・デ・ボザールで開催された日本の浮世絵展に感銘を受けた画家が、銅板に直に彫って描画する凹版技法≪ドライポイント≫、主に銅版へマチエールを転写する為の技法≪ソフトグランドエッチング≫や繊細な色面表現と多様な明暗表現を可能とする≪アクアティント(アクアチント)≫などの技法の用いて連作的に制作した多色刷り版画の中の一点である。画家に多大な影響を与えたエドガー・ドガが「これはカサットが書いたのか!?私はそれを認めたくはないが、女性(カサット)が、これほど見事な素描を描けるとは…!」と言葉を発したとの逸話も残されるほど、本作に示される湯浴みをする女性や水差しなど構成要素の簡潔で精確な輪郭線の表現は白眉の出来栄えである。特に半裸の女性の丸みを帯びた背中の輪郭線や、水桶(洗面器)の水を掬う左手首やそれにつながり湾曲する左腕の豊かな表情とその凛とした美しさは、否が応にも観る者の目を惹きつける。また絶妙に抑えられた色数や、日本風でありながらモダン性を感じさせる(女性が腰から下に身に着ける着物などの)色彩感覚、平面的な画面によって効果的に引き立つ装飾性なども注目すべき点である。なおワシントンにある国会図書館(関連:沐浴する女性 [1])や、画家の故郷である米国内最大級の美術館であるメトロポリタン美術館(関連:沐浴する女性 [2])など複数の美術館・関連施設が、この『沐浴する女性(湯浴み、髪を洗う女)』の版画を所蔵している。

関連:国会図書館(ワシントン)所蔵 『沐浴する女性 [1]』
関連:メトロポリタン美術館所蔵 『沐浴する女性 [2]』


【全体図】
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半裸の女性の丸みを帯びた背中の輪郭線。『湯浴み』又は『髪を洗う女』とも呼ばれる本作は、1890年にエコール・デ・ボザールで開催された日本の浮世絵展に感銘を受けた画家が連作的に制作した多色刷り版画の中の一点である。



【女性の丸みを帯びた背中の輪郭線】
水を掬う左手首と、それにつながり湾曲する左腕の豊かな表情。湯浴みする半裸の女性の流れるような輪郭線の凛とした美しさや、絶妙に抑えられた色数、洗練された女性独特の裸婦表現は、否が応にも観る者の目を惹きつける。



【水を掬う左手首と湾曲する左腕】
日本風でありながらモダン性を感じさせる色彩感覚。画家に多大な影響を与えたエドガー・ドガが「女性(カサット)が、これほど見事な素描を描けるとは…!」と言葉を発したとの逸話も残されるほど、本作に示される湯浴みをする女性や水差しなど構成要素の簡潔で精確な輪郭線の表現は白眉の出来栄えである。



【和風ながらモダン性を感じさせる色彩】
平面的な画面によって効果的に引き立つ装飾性。本作には銅板に直に彫って描画する凹版技法≪ドライポイント≫、主に銅版へマチエールを転写する為の技法≪ソフトグランドエッチング≫や繊細な色面表現と多様な明暗表現を可能とする≪アクアティント(アクアチント)≫などの技法が用いられている。



【効果的に引き立つ本作の装飾性】

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