2007/11/12掲載
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『ル・フィガロ』を読む(画家の母の肖像)1878年(Reading Le Figaro (Portrait of the Artist's Mother)) 81.3×66cm | 油彩・画布 | 個人所蔵
ル・フィガロ紙に目を通す画家の母親キャスリン・カサット。本作は新聞≪ル・フィガロ≫を読む画家の母親キャスリン・カサットの姿を描いた肖像画で、フランス語に精通し、社会情報にも詳しかった教養高い母親キャスリン・カサットは、画家にとって最も身近であり、かつ最も信頼のおけるモデルであった。
【画家の母親キャスリン・カサット】
キャスリン・カサットの右隣に配される鏡に映るル・フィガロ。本作の確かな画家のデッサン力を感じさせる形体の描写や、鏡による要素的強調(鏡にキャスリンの顔ではなく新聞を映すことによって母親の教養的イメージを強調している)、それに伴う空間的構成にエドガー・ドガの影響が感じられる。
【鏡に映るル・フィガロ】
画面右下に記される画家の署名。ル・フィガロを読むキャスリン・カサットは知的で清廉な様子であるも、ただそのイメージに固執することなく、左手薬指に填められる指輪や、清潔感と伝統性を感じさせる柔らかな白い衣服の表現に母親としての心象を結び付けている。
【画面右下に記される画家の署名】 |