2008/11/09掲載
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愛の争い(愛の戦い)(La lutte d'amour) 1880年頃38×46cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー 画面中央に描かれる金髪を靡かせた女たち。共に印象派展へ出品もしていた同時代の大画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの旧蔵となる本作は、森の中で繰り広げられる男女、そして女と女による愛の争いの情景を描いた作品である。
【金髪を靡かせた女たち】
強姦的な様子さえ感じさせる男女の姿。本作は小作ながら、セザンヌの個人的な記憶(画家は若かりし頃、よく友人らと水浴を楽しんでいた)や愛への考察・傾向が根幹となっていると推測することができる作品であり、同時期の画家の極めて重要な作品と位置づけることができる。
【強姦的な様子さえ感じさせる男女の姿】 セザンヌ独特の荒々しく劇場的な筆触。本作の愛の争いをおこなう男女らの姿は非常に暴力的であり、否が応にも画家初期の乱暴な強制力による性的妄想を予感させるものの、一方では愛を称える賛歌的な作品とする説も唱えられている。
【セザンヌ独特の荒々しく劇場的な筆触】 |