Description of a work (作品の解説)
2008/05/13掲載
Work figure (作品図)
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四人のブルターニュの女の踊り(四人のブルターニュの婦人)

 (La danse des quatre bretonnes) 1886年頃
139×374.5cm | 油彩・画布 | ノイエ・ピナコテーク

総合主義(サンテティスム)の創始者のひとりポール・ゴーギャン第一次ブルターニュ滞在期の最も重要な作品のひとつ『四人のブルターニュの女の踊り(四人のブルターニュの婦人)』。1886年5月に開催された最後の印象派展(第8回印象派展)の終了後、かねてから興味を持っていたブルターニュ地方の田舎ポン=タヴェンへ翌6月から11月まで赴いた、ゴーギャンの初の同地滞在となる第一次ブルターニュ滞在期での体験をもとに制作された本作は、素朴なブルターニュの若い女性たちが民族的な踊りを踊る情景を描いた作品である。ゴーギャンはこの1886年6月から11月までのブルターニュ滞在で、後のポン=タヴェン派の代表的な画家となるシャルル・ラヴァルや、画家と共にクロワゾニスム、そして総合主義(サンテティスム)の創始者となる若きエミール・ベルナールと出会うこととなり、この数ヶ月間の体験は画家の作風形成を促したと同時に、2年後の総合主義の成立を考えると、美術史的にも非常に重要なものとなった。本作に描かれる四人のブルターニュの娘達は民族衣装に身を包み、円陣を組むように踊りを踊っている。この情景は、観光客の来訪によって比較的裕福となったブルターニュの人々が余暇を楽しむように(観光客向けの)パフォーマンスに興ずる姿が元となっているものの、ゴーギャンはそこに(パリなどの)都会では感じることのできない原始的な美しさを見出し、本作ではそれを生き生きと捉え表現されている。遠近的表現、質感、陰影の複雑な描写などクロワゾニスム(対象の質感、立体感、固有色などを否定し、輪郭線で囲んだ平坦な色面によって対象を構成する描写手法)的な表現は本作では明確に示されていないものの、鮮明な輪郭線の使用や単純化されつつある形態・色彩表現などに、本作にはそれまでの作品とは異なる、総合主義(サンテティスム)的表現の萌芽を感じことができ、ゴーギャンは本作を手がけた二年後、『説教のあとの幻影(ヤコブと天使の闘い)』の制作によってクロワゾニスムによるサンテティスムを宣言した。

関連:1888年制作 『説教のあとの幻影(ヤコブと天使の闘い)』


【全体図】
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素朴なブルターニュの若い女性たち。本作は画家がかねてから興味を持っていたブルターニュ地方の田舎ポン=タヴェンへ1886年6月から11月まで赴いた、ゴーギャンの初の同地滞在となる第一次ブルターニュ滞在期での体験をもとに制作された作品である。



【素朴なブルターニュの若い女性たち】
質感、陰影の複雑な描写が残る女の頭部。本情景は、観光客の来訪によって比較的裕福となったブルターニュの人々が余暇を楽しむように(観光客向けの)パフォーマンスに興ずる姿が元となっているものの、ゴーギャンはそこに(パリなどの)都会では感じることのできない原始的な美しさを見出し、本作ではそれを生き生きと捉え表現されている。



【質感、陰影の複雑な描写が残る表現】
単純化されつつある形態・色彩表現。遠近的表現、質感、陰影の複雑な描写などクロワゾニスム的な表現は本作では明確に示されていないものの、鮮明な輪郭線の使用や単純化されつつある形態・色彩表現などに、本作にはそれまでの作品とは異なる、総合主義(サンテティスム)的表現の萌芽を感じことができる。



【単純化されつつある形態・色彩表現】

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