2008/10/01掲載
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アルルの夜のカフェにて(ジヌー夫人)(Au Cafe a Arlés (Mme Ginoux)) 1889年 73×92cm | 油彩・画布 | プーシキン美術館(モスクワ) 関連:ゴッホ作 『アルルの女(ジヌー夫人)』 関連:ゴッホ作 『夜のカフェ(アルルのラマルティーヌ広場)』 薄く柔らかい笑みを浮かべながら、やや気だるそうにテーブルへ肘を突きながら座るジヌー夫人。画家自身も「この主題は基本的に僕のものではないし、粗野で田舎染みた地方独特の色彩は僕には合わない。」と述べているよう、本作はゴーギャンの作品としてはいささか異例的な作品ではあるが、それでも本作に示されるゴッホ作品への解釈は非常に興味深い点である。
【やや気だるそうに座るジヌー夫人】
画面奥に描かれる娼婦と客の姿。ゴッホの作品ではゴッホ自身の孤独的な感情や心理と重ねたかのような(描く)対象への肉薄が鮮明に表現されているものの、本作にはそれらが感じられず、むしろ(描く)対象と一定の距離感を保つことで絵画としての調和と均衡を導いている。
【画面奥に描かれる娼婦と客の姿】
中景として描かれるビリヤード台。本作はゴッホの二つの作品からの引用によって構成されており、前景で肘を突きながら椅子に座るカフェ・ド・ラ・ガールの主人の妻マリー・ジヌーの姿は『アルルの女(ジヌー夫人)』に、本場面の舞台となる夜のアルルのカフェは『夜のカフェ』に基づいている。
【中景として描かれるビリヤード台】 |