2008/10/02掲載
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アルルの女(読書するジヌー夫人、本を持つジヌー夫人)(L'Arléssienne (Madame Ginoux)) 1888年 91.4×73.7cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館 関連:オルセー美術館所蔵 『アルルの女(ジヌー夫人)』 関連:ゴーギャン作 『アルルの夜のカフェにて(ジヌー夫人)』
頬杖を突き本へ視線を向けるジヌー夫人。本作は南仏アルル駅前にあったカフェ・ド・ラ・ガールの主人の妻マリー・ジヌーの姿を描いた肖像画作品で、ゴッホは「黄色い家」を借りるまでの間、このカフェに住んでいたことが知られており、ゴッホ自身も親しくなったジヌー夫人の肖像画を数点制作している。
【本へと視線を向けるジヌー夫人】 ゴッホが高い関心を示していたアルル地方独特の民族的な衣服。1888年の11月頃(又は1889年5月頃)に制作された本作で、ジヌー夫人が身に着ける衣服に用いられた黒色と紺青色は、簡素な背景となる淡い檸檬色の中で際立っている。
【アルル地方独特の民族的な衣服】
濃緑色の円机へ置かれる書物。共にアルルで制作活動をおこなっていたポール・ゴーギャンは本作と『夜のカフェ(アルルのラマルティーヌ広場)』を組み合わせ再構成した作品『アルルの夜のカフェにて(ジヌー夫人)』を制作している。
【濃緑色の円机へ置かれる書物】
形態の把握を追求した表現手法。質感や立体感などを否定した形態そのものへの追求や平面化された色面構成など総合主義的表現の影響を強く感じさせる本作ではあるものの、太く感情的な筆触や強烈な印象を与える原色的アプローチにはゴッホ独自の芸術的な確信が感じられる。
【形態の把握を追求した表現手法】 |