Description of a work (作品の解説)
2009/01/08掲載
Work figure (作品図)
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エア・ハエレ・イア・オエ?(あなたは何処へ行くの?)


(Ea Haere ia oe (Où vastu ?)) 1893年頃
91×72cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館

後期印象派の画家ポール・ゴーギャンの典型的な作例のひとつ『エア・ハエレ・イア・オエ?(あなたは何処へ行くの?)』。1891年4月から1893年6月までの第1次タヒチ滞在期に制作された本作は、現地の複数の女性を南国ポリネシアの情景の中へ描いた、ゴーギャンによるタヒチ時代の典型的な作品として知られている。画面手前には大きな果物を胸の前に抱いた若い娘が配されており、その原色的な赤色の腰布のみを身に着ける姿は、野性的で自然的な官能性と活き活きとした生命力に溢れている。また中景として画面左側には木陰で休む黒髪の女性が2人、画面右側には清潔な白地の衣服を身に着ける(子供を抱いた)母親らしき女性が描き込まれており、前者の中のひとりの姿態は明らかに前年頃に画家自身が制作した『ナフェア・ファア・イポイポ(あなたはいつ結婚するの?)』を引用している。ポリネシアの強烈な陽光による輝くような原色的色彩で彩られたポリネシアの情景も秀逸な出来栄えを示しているが、本作で最も注目すべき点は様々な説が唱えられる謎多き象徴性にある。例えば本作に用いられる名称『エア・ハエレ・イア・オエ?(あなたは何処へ行くの?)』が誰に向けられて誰が発しているのか?という点や、前景の若い女性が抱く南国風の果物の意味、4人の登場人物の交わらない視線、画面上部の緑色と赤色の樹木の葉など本作にはゴーギャンが己の内面へ抱いた(南国タヒチに対する)様々な象徴性が示されていると考えられているが、その解釈については当時より様々な説が唱えられており、もはやその真意は画家自身しかわからないのであろう。しかし本作の象徴性と南国独特の生命的な色彩との原始的な力の連動性は、観る者に対して強烈な心象を残すことに成功している。

関連:『ナフェア・ファア・イポイポ(あなたはいつ結婚するの?)』


【全体図】
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観る者と視線が交わる意味深げな女の表情。画面手前には大きな果物を胸の前に抱いた若い娘が配されており、その原色的な赤色の腰布のみを身に着ける姿は、野性的で自然的な官能性と活き活きとした生命力に溢れている。



【意味深げな女の表情】
過去の作品から引用される女性の姿態。中景に描かれる三人の女性の中のひとりの姿態は、明らかに前年頃にゴーギャン自身が制作した『ナフェア・ファア・イポイポ(あなたはいつ結婚するの?)』を引用している。



【過去作品から引用される女性の姿態】
画面上部に配される緑色と赤色の樹の葉。前景の若い女性が抱く南国風の果物の意味、4人の登場人物の交わらない視線、画面上部の緑色と赤色の樹木の葉など本作にはゴーギャンが己の内面へ抱いた(南国タヒチに対する)様々な象徴性が示されていると考えられている。



【緑色と赤色の樹の葉】

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