Description of a work (作品の解説)
2008/04/05掲載
Work figure (作品図)
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マナオ・トゥパパウ(死霊は見守る、死霊が見ている)


(Manao Tupapau (L'esprit des morts veille)) 1892年
73×92cm | 油彩・画布 | オブライト・ノックス美術館

後期印象派を代表する画家であり、総合主義の創始者のひとりでもあるポール・ゴーギャン第一次タヒチ滞在期の傑作『マナオ・トゥパパウ(死霊は見守る、死霊が見ている)』。本作は1891年4月から1893年6月までフランス領ポリネシアに属する南国の島タヒチに滞在した期間≪第一次タヒチ滞在期≫に制作された作品で、同島で画家と愛人関係になり共に生活(同棲)していた13歳の現地民テハアマナ(通称テフラ)をモデルに描かれている。本作の制作動機については画家の自伝≪ノア・ノア≫で、次のように語られている。「私が家に帰り、ランプに灯りを灯そうとマッチを擦ると、テフラが裸でうつ伏せのまま、恐怖で大きく目を見開き、私をじっと見つめていた。その目はあたかも燐光が流れ出ているかのようであり、私はこんなにも美しい彼女を見たことが無かった。」。タヒチの現地民は伝統的に死霊に対して大きな恐れを抱いており、本作で描かれるテフラも、薄暗い夜の中で見た燐光を死者の魂と信じて、恐れ戦いていたのであろう、≪ノア・ノア≫に記されるよう、目を見開き、身体を硬直させながら観る者(ゴーギャン)を直視している。また画面の左奥にはテフラが見た(又は感じた)死霊が闇の中に潜むように(画家の言葉によればひとりの少女の姿で)横顔を覗かせている。本作の複雑な象徴性や心理的表情の解釈については諸説唱えられているも、一般的にはテフラが体験した非現実的な神秘と超自然的な恐怖を、(楽園であるタヒチにも潜む)生死の象徴として表現し、それを本作で証明したと考えられている。なお本作の寝台に横たわる裸婦の構図や画面展開は印象派の先駆者エドゥアール・マネの代表作『オランピア』から着想が得られていることが知られている。


【全体図】
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目を見開き、身体を硬直させながら観る者(ゴーギャン)を直視するテフラ。タヒチの現地民は伝統的に死霊に対して大きな恐れを抱いており、本作で描かれるテフラも、薄暗い夜の中で見た燐光を死者の魂と信じて、恐れ戦いていたのであろう、≪ノア・ノア≫に記されるよう、目を見開き、身体を硬直させながら観る者(ゴーギャン)を直視している。



【目を見開き観る者を直視するテフラ】
暗闇の中に現れる(画家の言葉によればひとりの少女の姿の)死霊の姿。本作は1891年4月から1893年6月までフランス領ポリネシアに属する南国の島タヒチに滞在した期間≪第一次タヒチ滞在期≫に制作された作品で、同島で画家と愛人関係になり共に生活(同棲)していた13歳の現地民テハアマナ(通称テフラ)をモデルに描かれている。



【暗闇の中に現れる死霊の姿】
背後の壁の装飾的な模様。本作の複雑な象徴性や心理的表情の解釈については諸説唱えられているも、一般的にはテフラが体験した非現実的な神秘と超自然的な恐怖を、(楽園であるタヒチにも潜む)生死の象徴として表現し、それを本作で証明したと考えられている。



【背後の壁の装飾的な模様】

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