2008/08/05掲載
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自画像(渦巻く青い背景の中の自画像)(Portrait de l'artiste par luimême) 1889年 65×54cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ) 関連:1889年8月末頃制作 『自画像(パレットのある自画像)』 観る者(或いは画家自身)の内面すらまで見据えるかのような厳しくある種の確信性に満ちた表情。サン・レミ時代のゴッホは精神状況が回復(安定)しつつあったものの、それでも本作で表現される画家自身の姿からは狂気的で異様な画家の精神的内面が如実に感じられる。
【厳しくある種の確信性に満ちた表情】
太く明確な輪郭線と短形的な筆触。本作はそれまでに手がけてきた他の自画像作品と比較し、明度と筆触に明らかな違いが示されており、幻想的で夢遊な明るさと短く流線的なタッチは、ゴッホが晩年期に辿り着いた自身の絵画表現の最も優れた例のひとつである。
【太く明確な輪郭線と短形的な筆触】 蒼白い炎となってうねりながら燃え立つような渦巻き模様。この非常に独自的な自画像における背景表現は、耳切り事件と度重なる神経発作による画家の不安定で苦悩に満ちた感情が、あたかも蒼白い炎となってうねりながら燃え立つ渦巻き模様として具現化しているようである。
【蒼白い炎が燃え立つような渦巻き模様】 |