2008/04/27掲載
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耳を切った自画像(頭に包帯をした自画像)(Portrait de l'artiste par luimême) 1889年 60×49cm | 油彩・画布 | コートールド美術研究所(ロンドン) 関連:『パイプをくわえる包帯の自画像』 関連:ポール・ゴーギャン作 『ひまわりを描くファン・ゴッホ』
冷静に観る者、そして画家自身へと向けられる視線。本作はゴッホが画家としても尊敬していた友人ポール・ゴーギャンと共に制作活動をおこなった日差しの強い南仏の町アルル滞在時に起こした有名な≪耳切り事件≫の直後に制作された自画像作品である。
【冷静に画家自身へと向けられる視線】 包帯で巻かれる顔側部など痛々しい様子。本作の画家自身の姿は、一見すると落ち着きを取り戻したかのようにも見えるが、この事件以降、画家は幻覚と悪夢にうなされるようになり、その症状は生涯続いたと伝えられている。
【包帯で巻かれる痛々しい顔側部】
背後に飾られる画家が強く影響を受けた浮世絵。この浮世絵は異論も多いが、おそらく佐藤虎清による『芸者』と推測されており、鮮やかで明るさの増した色彩と共に、本作にはゴッホの日本趣味への強い傾倒が示されている。
【背後に飾られる浮世絵】 |