Description of a work (作品の解説)
2008/08/02掲載
Work figure (作品図)
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薔薇のある静物

 (Nature nirte aux Roses) 1889年
44×56cm | 油彩・画布 | リヨン美術館

19世紀のフランスや英国で活躍したサロン画家アンリ・ファンタン=ラトゥールを代表する静物画作品のひとつ『薔薇のある静物』。クロード・モネルノワールなど印象派の画家たちの台頭によってそれまでに得ていた画家の人気が衰え始めていた1880年代末に制作された本作は、白色、黄色、桃色の薔薇の花とガラスの水差しを描いた静物画作品で、ファンタン=ラトゥールの静物表現における頂点が示される作品のひとつとして高く評価されている。画面やや下部分に描かれる大理石のコンソールテーブルの上の端(右側)に大きく花を咲かせた白色、黄色、そして桃色の薔薇の花が配され、その隣には口の大きなガラスの水差しと小さな桃色の薔薇の蕾を付けた枝が置かれている。本作を構成する静物はこれらのみであり静物画としては非常に単純で簡素であるものの、古典に倣う高度な写実的描写による的確な形態表現や、作品から醸し出される深い詩情性や静謐な雰囲気は画家の静物画作品の中でも特に優れた出来栄えを示している。また色彩表現においても薔薇の控えめで儚げな色彩の繊細さを引き立てるような背景の黄土色、そして大理石の黄白色の調和的選定や、薔薇の生命力を感じさせる生き生きとした色彩の柔和性と、透明感を感じさせる青いガラスの水差しやテーブルに用いられる大理石の硬質性との素材的・質感的・色彩的対比も特に注目すべき点である。


【全体図】
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硬質的な青いガラスの水差し。本作は、白色、黄色、桃色の薔薇の花とガラスの水差しを描いた静物画作品で、ファンタン=ラトゥールの静物表現における頂点が示される作品のひとつとして高く評価されている。



【硬質的な青いガラスの水差し】
大きな花を咲かせる薔薇の花々。静物画としては非常に単純で簡素に構成される本作ではあるものの、古典に倣う高度な写実的描写による的確な形態表現や、作品から醸し出される深い詩情性や静謐な雰囲気は画家の静物画作品の中でも特に優れた出来栄えを示している。



【大きな花を咲かせる薔薇の花々】
一輪だけ置かれた蕾をつけた薔薇の枝。薔薇の控えめで儚げな色彩の繊細さを引き立てるような背景の黄土色、そして大理石の黄白色の調和的選定や、薔薇のの柔和性と、ガラスの水差しや大理石の硬質性との素材的・質感的・色彩的対比も特に注目すべき点である。



【一輪だけ置かれた蕾をつけた薔薇の枝】

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