2007/04/16掲載
■
すみれのブーケをつけたベルト・モリゾの肖像(黒い帽子のベルト・モリゾ)(Berthe Morisot au bouquet de violettes (au chapeau noir)) 1872年55×38cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)
衣服と帽子などに用いられた深く多様な黒色。圧倒的な存在感を示す黒色と背景に用いられた灰色が画面の大部分を占めることによって、本作中の色味、つまりベルト・モリゾの顔や頭髪に用いられた明瞭な茶色や肌色、すみれのブーケの控えめな青色が、より洗練された印象を観る者に与えるのである。
【本作に用いられた深く多様な黒色】
慎ましく描かれるすみれのブーケ。マネはベルト・モリゾがルーヴル美術館で模写をおこなっていた時に、画家の友人アンリ・ファンタン=ラトゥールから同氏を紹介されて以来、マネとベルト・モリゾは親密な交友関係を持つに至り、代表作『バルコニー』を始め、幾度もベルト・モリゾをモデルとして作品を手がけている。
【慎ましく描かれるすみれのブーケ】 |