Description of a work (作品の解説)
2007/06/13掲載
Work figure (作品図)
■ 

オペラ座の仮面舞踏会

 (Bal masque à l'Opéra) 1873年
59×72.5cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

エドゥアール・マネ作『オペラ座の仮面舞踏会』。1874年のサロンに出品されるも、あえなく落選してしまった本作に描かれるのは最も著名な歌劇場のひとつで、当時はル・プルティエ街に建てられていた≪旧オペラ座(旧オペラ座は本作が描かれた1873年10月に起こった火事で焼失し、現在オペラ座はシャルル・ガルニエの設計により1875年に完成)≫を舞台に開かれた仮面舞踏会の場面である。本作に配されるシルクハットを被る男たちの群集構図には、画家が1865年に訪れたスペインで見たマニエリスム最大の画家エル・グレコ屈指の代表作『オルガス伯爵の埋葬』からの影響が一部の研究者や美術史家から指摘されている。この男たちを始め、画面左端の赤と緑の人形の格好をした男など本作中には画家の友人や知人などが多数描かれているほか、画面右端から二番目の正面を向く男として画家自身の姿が描き込まれている。本作のような風俗的主題を扱った作品の中にも画家の鋭い現実への洞察や、聖書や神話など正統的な主題への皮肉が示されている。例えば『オルガス伯爵の埋葬』での聖人や教会を支えた有力者たちの集団は、当時のパリの現代化を支えた上流階級の人々と仮装した娼婦たちの姿に変え描かれていると解釈できる。また絵画としての色彩構成も黒色の衣服に身を包む男たちが画面の大部分を占める本作の中にアクセント的な差し色として、娼婦らや人形の格好をした男や画面上部に下半身のみ描かれるの女性の脚の赤色や緑色、水平に描かれる2階部分の床や垂直に描かれる2本の大理石の柱の白色が用いられるなど非常に完成度が高い。

関連:エル・グレコ作 『オルガス伯爵の埋葬』


【全体図】
拡大表示
舞踏会場で談笑する紳士と娼婦。1874年のサロンに出品されるも、あえなく落選してしまった本作に描かれるのは最も著名な歌劇場のひとつで、当時はル・プルティエ街に建てられていた≪旧オペラ座≫を舞台に開かれた仮面舞踏会の場面である。



【舞踏会場で談笑する紳士と娼婦】
旧オペラ座に集う人々の喧騒。本作に配されるシルクハットを被る男たちの群集構図には、画家が1865年に訪れたスペインで見たマニエリスム最大の画家エル・グレコ屈指の代表作『オルガス伯爵の埋葬』からの影響が一部の研究者や美術史家から指摘されている。



【旧オペラ座に集う人々の喧騒】
下半身のみ描かれるの女性の脚。本作のような風俗的主題を扱った作品の中にも画家の鋭い現実への洞察や、聖書や神話など正統的な主題への皮肉が示されており、『オルガス伯爵の埋葬』での聖人や教会を支えた有力者たちの集団は、当時のパリの現代化を支えた上流階級の人々と仮装した娼婦たちの姿に変え描かれていると解釈できる。



【下半身のみ描かれるの女性の脚】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ