2008/10/19掲載
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草原(ブゾンの原)(La Prairie) 1874年57×80cm | 油彩・画布 | ベルリン国立美術館
日傘を草原に置き読書する妻カミーユ。第2回印象派展やモネ・ロダン展への出品作である本作は、当時、画家が住んでいたパリ近郊アルジャントゥイユの西方に位置するブゾンの草原で読書する画家の最初の妻カミーユと息子ジャンを描いた作品である。
【日傘を草原に置き読書する妻カミーユ】
草原の中に立つ息子ジャンの姿。速筆的な筆触で描写される柔らかい陽光の射し込むブゾンの草原は輝きを帯びているかのように明瞭で、水平が強調される安定的で単純な画面構成ながら豊かな詩情的雰囲気を醸し出している。
【草原の中に立つ息子ジャンの姿】
強い風によって大きく靡く木々。本作に用いられる色彩そのものも実に幸福的かつ抒情的であり、画家の芸術的充実とその探求がよく示されているほか、靡く中景の木々を始めとした風という自然現象が静寂感の漂う画面の中に動的な運動性と時の連続性を与えている。
【強い風によって大きく靡く木々】 |