Description of a work (作品の解説)
2009/01/27掲載
Work figure (作品図)
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並木道(サン=シメオン農場への道)


(Walk (Road of the Farm Saint-Siméon)) 1864年
81.6×46.4cm | 油彩・画布 | 国立西洋美術館(東京)

印象派最大の巨匠のひとりクロード・モネ最初期を代表する作品のひとつ『並木道(サン=シメオン農場への道)』。本作はモネが23歳の時に、友人フレデリック・バジールや師ウジェーヌ・ブーダンらと共に、セーヌ河口の港町オンフルールから西(トルーヴィル)へ向かう街道にある≪サン=シメオン農場≫近郊の情景を描いた風景画作品である。画面中央下部には右側へと湾曲するサン=シメオン農場への街道(農道)が配されており、道中には植えられた並木からこぼれる木漏れ日が林から落ちる深い影と見事な光彩的コントラストを生み出している。遠景となる画面奥(街道奥)には農場の母屋と思われる質素な建築物の屋根が描き込まれているほか、清々しい青空が広がっている。さらに街道(農道)の両端には背の高い木々が悠々と配され、観る者に高度的な空間の開放感を強調している(本作の縦長の画面構成は伝統的な風景画では珍しいアプローチであり、注目すべき点のひとつである)。本作で特筆すべき点は、やや粘性を感じさせる荒々しい筆触による各構成要素の描写と奔放な光彩の描写にある。特に画面手前の右から左斜めへと向けて勢いよく引かれる肌色の木漏れ日の表現は絵具独特の質感を残しながら遠目には光度の強弱が見事に表現されており、観る者の眼を惹きつける。さらにコローなどバルビゾン派の影響を感じさせる抑制的な色彩がそのような光彩表現をより一層際立たせており、これらの表現にはモネがルノワールと共に取り組むことになる印象主義的表現≪筆触分割≫を予感させる。

関連:『サン=シメオン農場の道』


【全体図】
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画面奥に描かれるサン=シメオン農場。本作はモネが23歳の時に、友人フレデリック・バジールや師ウジェーヌ・ブーダンらと共に、セーヌ河口の港町オンフルールから西(トルーヴィル)へ向かう街道にある≪サン=シメオン農場≫近郊の情景を描いた風景画作品である。



【画面奥に描かれるサン=シメオン農場】
奔放な筆触による木漏れ日の描写。画面中央下部には右側へと湾曲するサン=シメオン農場への街道(農道)が配されており、道中には植えられた並木からこぼれる木漏れ日が林から落ちる深い影と見事な光彩的コントラストを生み出している。



【奔放な筆触による木漏れ日の描写】
筆触分割を予感させる木々の葉の描写。コローなどバルビゾン派の影響を感じさせる抑制的な色彩がそのような光彩表現をより一層際立たせており、これらの表現にはモネがルノワールと共に取り組むことになる印象主義的表現を予感させる。



【筆触分割を予感させる木々の描写】

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