2008/06/17掲載
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横たわる羊飼い(Bergère couchée) 1891年63×114cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)
肘を突きながら横たわる羊飼いの少女。モリゾと夫ウジェーヌ・マネとの間に生まれた最愛の娘ジュリーの友人ルイ・ガブリエル・デュフールをモデルとして制作された本作では、横長の画面中央に頭を右側にした羊飼いの少女が肘を突きながら寛ぐように横たわっている。
【肘を突きながら横たわる羊飼いの少女】 やや長めの直線的に流れるようなタッチ。晩年のモリゾの筆触的特長である、やや長めの直線的に流れるようなタッチによって羊飼いの少女、子羊、果実と枝葉、そして抽象的な背景など本作を構成する要素が描写されており、その何れもが明るく柔らかな優しい光に包まれている。
【やや長めの流れるようなタッチ】
たわわに実った桃色の果実。モリゾ随一の代表作である『桜の木(さくらんぼうの木)』同様、画家がパリ北西のメズィーに滞在していた1891年の春に制作された本作は、この頃、複数枚手がけられたことが確認されている≪羊飼い≫を画題とした作品の中の1点である。
【たわわに実った桃色の果実】
少女に寄り添うように配される子羊。羊飼いの少女が身に着ける橙色の頭巾、肩口まで開いた白い衣服と長スカート、健康的な肌の多様な色彩に溢れた流線的な表現や、簡素化された背景の絶妙に調整された光の表現は画家の晩年期の作品の中でも特に白眉の出来栄えを示している。
【少女に寄り添うように配される子羊】 |