Description of a work (作品の解説)
2008/07/30掲載
Work figure (作品図)
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夏の日

 (Jour d'été) 1879年
45.7×75.3cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

19世紀に活躍した女流画家ベルト・モリゾの代表的な作品のひとつ『夏の日』。本作に描かれるのはモリゾが当時その近郊に住んでおり、自身のお気に入りの散歩道であったブーローニュの森で遊ぶ二人の女性である。本作に描かれる二人の女性のモデルは不明であるものの、リボンで装飾される洒落た帽子を被り、流行的でありながら爽やかな洗練的印象を与える品の良い衣服に身を包んだ女性らのボート遊びをおこなう姿は非常に優雅的であり、画面からは当時の余暇を楽しむ人々の情景がありありと伝わってくるようである。さらに画面中央の女性は質の高そうなレースの長手袋を身に着け、その膝の上には夏の暑い日差しを遮るための、清涼感に溢れる水色(空色)の日傘が置かれている。またその背後は三羽の水鳥が水面を泳いでおり、紺紫色の衣服を着たもう一人の女性がその光景に視線を向けている。本作の画題である≪ボート遊び(ボートを漕ぐ人々)≫はエドゥアール・マネギュスターヴ・カイユボットもしばしば取り組んでおり、大胆な構図展開などは本作でも共通する点であるものの、モリゾ独特の対象の瞬間を捉えるかのような荒々しく即興的な筆触によって、女性達や水面の表情が見事に表現されており、観る者を魅了する。また光の反射を直線的に描写される白色で表現した独特の色彩表現も秀逸の出来栄えを示しており、特に細かく揺らめく水面の稲妻形の描写や森の木々が映り込んで緑色に輝く画面左上部分の表現は白眉の一言である。


【全体図】
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余暇を優雅に過ごす女性の姿。本作に描かれるのはモリゾが当時その近郊に住んでおり、自身のお気に入りの散歩道であったブーローニュの森で遊ぶ二人の女性で、モリゾ独特の対象の瞬間を捉えるかのような荒々しく即興的な筆触によって、女性達や水面の表情が見事に表現されている。



【余暇を優雅に過ごす女性の姿】
三羽の水鳥に視線を向ける女性。リボンで装飾される洒落た帽子を被り、流行的でありながら爽やかな洗練的印象を与える品の良い衣服に身を包んだ女性らのボート遊びをおこなう姿は非常に優雅的であり、画面からは当時の余暇を楽しむ人々の情景がありありと伝わってくるようである。



【三羽の水鳥に視線を向ける女性】
細かく揺らめく水面の稲妻形の描写。光の反射を直線的に描写される白色で表現した独特の色彩表現などは、本作中でも秀逸の出来栄えを示しており、特に細かく揺らめく水面の稲妻形の描写や森の木々が映り込んで緑色に輝く画面左上部分の表現は白眉の一言である。



【細かく揺らめく水面の稲妻形の描写】

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