Description of a work (作品の解説)
2008/03/26掲載
Work figure (作品図)
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マンドリンを弾くジュリー

 (La mandoline) 1889年
55×57cm | 油彩・画布 | 個人所蔵

印象派を代表する女流画家ベルト・モリゾの娘ジュリーを描いた代表的作品のひとつ『マンドリンを弾くジュリー』。本作は印象派の始祖的画家エドゥアール・マネの弟で、1874年に(画家と)結婚したモリゾ最愛の夫ウジェーヌ・マネとの間に1878年に授かった娘ジュリーが撥弦楽器のひとつである≪マンドリン≫を弾く11歳の頃の姿を描いた作品である。娘ジュリーが生まれてからモリゾはジュリーや家族、使用人を画題に作品を数多く手がけているが、『寓話(おとぎ話)』や『庭のウジェーヌ・マネと娘』本作以前の作品と比較すると娘ジュリーの身体的成長が顕著に表れている。モリゾは娘ジュリーにマンドリンを始め、ヴァイオリン、ピアノ、デッサンなど様々な芸術的教育をおこなっていたことが知られており、本作はその教育の成果を表すジュリーの姿を描いた作品とも言える。ほぼ左真横から捉えられる娘ジュリーの姿は真剣な眼差しをマンドリンの弦を押さえる左手に向けている。力強いモリゾ独特の筆致による場面表現は本作でも健在であるが、より流形的な筆触で対象(本作では娘ジュリーやマンドリン)形体を捉えるこの頃の画家の様式的変化も本作からは感じることができる。特に急激な短縮法によって描かれるマンドリンの流れるような描写は本作の中でも特に注目すべき点であるほか、背景の落ち着いていながら様々な色味を感じさせる複雑な色調と娘ジュリーが身に着ける衣服の絶妙な色調の視覚的対比は、観る者の視線を自然と主対象へと向けさせる。

関連:『マンドリンを弾く娘』


【全体図】
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真剣な眼差しをマンドリンの弦を押さえる左手に向ける娘ジュリー。本作は印象派の始祖的画家エドゥアール・マネの弟で、1874年に(画家と)結婚したモリゾ最愛の夫ウジェーヌ・マネとの間に1878年に授かった娘ジュリーが撥弦楽器のひとつである≪マンドリン≫を弾く11歳の頃の姿を描いた作品である。



【弦を押さえる手に視線を向けるジュリー】
流れるような筆触によるマンドリンの描写。力強いモリゾ独特の筆致による場面表現は本作でも健在であるが、より流形的な筆触で対象(本作では娘ジュリーやマンドリン)形体を捉えるこの頃の画家の様式的変化も本作からは感じることができる。



【流れるような筆触による形体描写】
娘ジュリーが身に着ける衣服の絶妙な色調。モリゾは娘ジュリーにマンドリンを始め、ヴァイオリン、ピアノ、デッサンなど様々な芸術的教育をおこなっていたことが知られており、本作はその教育の成果を表すジュリーの姿を描いた作品とも言える。



【身に着ける衣服の絶妙な色調】

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