Description of a work (作品の解説)
2007/03/17掲載
Work figure (作品図)
■ 

羊飼いの娘(小枝を持つ少女、座る農家の娘)

 1881年
(La Bergère (Jeune fille à la baguette, Paysanne assise))
81×64.7cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の画家の中でも特に中心的存在であった巨匠カミーユ・ピサロ転換期(探求期)における最も重要な作品のひとつ『羊飼いの娘』。1882年3月に開催された第7回印象派展に画家が出典した34作品の中の一枚で、『小枝を持つ少女』とも『座る農家の娘』とも呼ばれる本作は、農村に住む若い女性の日常を描いた集団像の為の習作的単身人物像作品で、ピサロが本格的に取り組んだ人物画の1点でもあるが、その完成度と探求的表現は、この時期の作品の中でも特に重要視されている。1880年代は印象派の画家グループにとって、政治・戦争などの時代背景や思想・表現の変化、己の様式からの脱却、サロン出典への対応、点描による表現…所謂≪新印象主義≫など新たな表現の登場などで危機的な状況にあり、ピサロも例外なくその影響を受けており、近郊の農村に住まう農民の生活や風俗的日常を描くことは変わり無いものの、本作での表現は、まるで大地と人物が渾然一体となってひとつに融合しているようである。それは、それまで個として別の存在感を以って表現されていた過去の作品と明らかに異なり、自然(又は大地・農村)やそこに住む人物への深い洞察と認識による画家の多様性の表れである。特に画家にとって1880年代(主に1880年代後半)は新印象主義的技法≪点描表現≫を取り入れた時代でもあり、本作にはその萌芽とも呼べる、荒々しく混在としながらも、非常に統一感や心地よさ、画題が持つ力強さを感じさせる独特の色彩描写や表現手法が示されている。また本作は19世紀後半当時の現代的な余暇を楽しむ精神を描いた印象主義の流れのひとつを、自らが置く農村地の環境に近づけ表現した作品としても捉えられ、ルノワールとの関係性やミレーとの対峙性が指摘されている。


【全体図】
拡大表示
羊飼いの娘の深淵な表情。1882年3月に開催された第7回印象派展に画家が出典した34作品の中の一枚である本作は、農村に住む若い女性の日常を描いた集団像の為の習作的単身人物像作品で、ピサロが本格的に取り組んだ人物画の1点でもあるが、その完成度と探求的表現は、この時期の作品の中でも特に重要視されている。



【羊飼いの娘の深淵な表情】
少女が持つ小枝。まるで大地と人物が渾然一体となってひとつに融合しているような本作の表現は、それまで個として別の存在感を以って表現されていた過去の作品と明らかに異なり、自然(又は大地・農村)やそこに住む人物への深い洞察と認識による画家の多様性の表れである。



【少女が持つ小枝】
荒々しく混在としながらも、非常に統一感や心地よさ、画題が持つ力強さを感じさせる独特の表現手法。また本作は19世紀後半当時の現代的な余暇を楽しむ精神を描いた印象主義の流れのひとつを、自らが置く農村地の環境に近づけ表現した作品としても捉えられ、ルノワールとの関係性などが指摘されている。



【ピサロ独特の表現手法】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ