2008/01/05掲載
■
小さな貴婦人ロメーヌ・ラコー嬢(Portrait de Mademoiselle Romaine Lacaux) 1864年 81×65cm | 油彩・画布 | クリーグランド美術館
ロメーヌ・ラコー嬢の子供らしい(愛らしい)描写。テラコッタ(陶器・焼物用の粘土、又はそれで形成された器や像。彫刻や建築装飾の材料としても用いられる。)製造業を営んでいたラコー夫妻の依頼により制作された本作は、夫妻の娘≪ロメーヌ・ラコー嬢≫を描いた肖像画である。
【ロメーヌ・ラコー嬢の愛らしい描写】
膝の上で組まれるロメーヌ・ラコー嬢の両手。古典様式を彷彿とさせる真正面向きの構成や、座し膝の上で手を組む姿勢はスペイン・バロック絵画の巨匠ディエゴ・ベラスケスや新古典主義最後の巨匠アングルからの、硬質的かつ抑制的で落ち着いた色彩は、画家が後に研究することになるバルビゾン派の画家ジャン=バティスト・カミーユ・コローからの影響をうかがわせる。
【膝の上で組まれるロメーヌの両手】
ロココ的な典雅性や幸福的な軽やかさを感じさせる背後の色彩豊かな花々の静物描写。やや緊張気味ながら意思の強さ(品格・格調の高さ)を思わせる明確な瞳と口元の表情、膨らんだ袖やスカートの流行的なシルエットや上品で艶やかな色彩などに、(本作を手がけた23歳頃の)若きルノワールの豊かな才能と先人から学び取ろうとする意欲が示されている。
【背後の色彩豊かな花々の静物描写】 |