Description of a work (作品の解説)
2007/12/02掲載
Work figure (作品図)
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アニエールの水浴


(Baignade, Asnières) 1883-1884年※1887年に加筆
201×301.5cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

新印象派の創始者ジョルジュ・スーラが新印象主義的な技法で制作した最初の代表作かつ記念碑的な傑作『アニエールの水浴』。本作に描かれるのは、本作はパリ北西、セーヌ河沿いにあるアニエールの風景(画面右部分には画家随一の代表作の舞台『グランド・ジャット島』も見える)と、そこで水浴や日光浴などをおこない余暇を楽しむ人々で、統一感のある豊かで柔らかな色彩、遠近法を用いた風景表現、明確な輪郭による堅牢で記念碑的な人物描写でありながらも、全体としては単純化された、静寂感漂う情景表現は、不思議な存在感を感じさせる。遠景(画面奥)にはアニエールより西にあるクリシーの工場が。各登場人物や風景など構成要素を素描や習作などで各々別々に制作した後、それらを形態的・色彩的に入念に再構築・再構成して完成させられた本作は、『グランド・ジャット島の日曜日の午後』とは異なり、技法的な展開が統一されていないのが最も大きな特徴である。画面中央の男に代表される主要人物の表現には、やや筆触を抑えた表面の滑らかな(アカデミック的技法に通じる)描写が用いられ、セーヌ河水面の描写や草々が生える陸地の表現には、印象主義的な技法が顕著に示されている。さらに水面と陸地の描写にも差異が明確であり、前者は典型的な印象主義的技法で描写されるのに対し、後者は斜めの筆致も認められるよう、より画家の独自的描写手法が用いられている。なおスーラは本作を制作するにあたり数多くの習作(油彩で約10点)や素描(15点)を手がけており、シカゴ美術館には最終的な習作とされる『アニエールの水浴』が所蔵されている。

関連:シカゴ美術館所蔵 習作『アニエールの水浴』


【全体図】
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明確な輪郭による堅牢で記念碑的な人物描写。本作に描かれるのは、本作はパリ北西、セーヌ河沿いにあるアニエールの風景(画面右部分には画家随一の代表作の舞台『グランド・ジャット島』も見える)と、そこで水浴や日光浴などをおこない余暇を楽しむ人々である。



【明確な輪郭による堅牢な人物描写】
やや筆触を抑えた表面の滑らかな(アカデミック的技法に通じる)描写。本作の統一感のある豊かで柔らかな色彩、遠近法を用いた風景表現、明確な輪郭による堅牢で記念碑的な人物描写でありながらも、全体としては単純化された、静寂感漂う情景表現は、不思議な存在感を感じさせる。



【やや筆触を抑えた表面の滑らかな描写】
印象主義的な技法が顕著な水面の表現。画面中央の男に代表される主要人物の表現には、やや筆触を抑えた表面の滑らかな(アカデミック的技法に通じる)描写が用いられ、セーヌ河水面の描写や草々が生える陸地の表現には、印象主義的な技法が顕著に示されている。



【印象主義的な技法が顕著な水面表現】
遠景(画面奥)に見えるクリシーの工場。スーラは本作を制作するにあたり数多くの習作(油彩で約10点)や素描(15点)を手がけており、シカゴ美術館には最終的な習作とされる『アニエールの水浴』が所蔵されている。



【遠景(画面奥)に見えるクリシーの工場】

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