Description of a work (作品の解説)
2008/03/08掲載
Work figure (作品図)
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化粧する若い女(白粉をはたく若い女)


(Jeune femme se poudranu) 1889-1890年
94.2×79.5cm | 油彩・画布 | コートールド美術研究所

新印象派の創始者ジョルジュ・スーラ唯一となる肖像画作品『化粧する若い女(白粉をはたく若い女)』。ロンドン大学付属のコートールド美術研究所に所蔵されている本作は、制作された1889年の春に画家と出会った恋人マドレーヌ・ノブロックをモデルに、身支度(化粧)をする女を描いた作品である。やや姿態に不自然さの残る誇張されたマドレーヌ・ノブロックは画面右側に配され、反対側には装飾的な化粧台や花瓶などが置かれている。マドレーヌ・ノブロックが手にする化粧パフを中心に背景が渦巻いており、この左から右へと流れる色彩の渦は、画面内へこれまでの絵画には類例の無い躍動感と(画家の理論としての)幸福感を与える効果を発揮している。これらはポール・シニャックら他の画家と共にスーラも強く傾倒したシャルル・アンリの独自的な色彩理論に基づくものであり、観る者の視線を惹きつける(シニャックも肖像画『フェリックス・フェネオンの肖像』でシャルル・アンリの理論を用いている)。また画面左上の花瓶部分には制作当初(又は制作途中までは)、画家自身の肖像画が描かれる予定であったものの、友人の進言により花瓶へと変更したことが知られている。画家独特の(背景色と同系である)青色の点描を基調とした陰影描写によって、化粧を整えるマドレーヌ・ノブロックや化粧台などの構成要素は、画面の中で互いに主張し合うのではなく、あくまでも統一的で理論的な調和に溢れている。


【全体図】
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化粧鏡に視線を落す画家の恋人マドレーヌ・ノブロック。ロンドン大学付属のコートールド美術研究所に所蔵されている本作は、制作された1889年の春に画家と出会った恋人マドレーヌ・ノブロックをモデルに、身支度(化粧)をする女を描いた作品である。



【画家の恋人マドレーヌ・ノブロック】
マドレーヌ・ノブロックが手にする化粧パフ。マドレーヌ・ノブロックが手にする化粧パフを中心に背景が渦巻いており、この左から右へと流れる色彩の渦は、画面内へこれまでの絵画には類例の無い躍動感と(画家の理論としての)幸福感を与える効果を発揮している。



【渦巻きの中心となる化粧パフ】
化粧パフへと向かう渦巻き。画家独特の(背景色と同系である)青色の点描を基調とした陰影描写によって、化粧を整えるマドレーヌ・ノブロックや化粧台などの構成要素は、画面の中で互いに主張し合うのではなく、あくまでも統一的で理論的な調和に溢れている。



【化粧パフへと向かう渦巻き】

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