Description of a work (作品の解説)
2008/01/12掲載
Work figure (作品図)
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井戸端の女たち(井戸端のプロヴァンス嬢)


(Femmes au puits) 1892年
194.8×130.7cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

新印象主義の最も重要な画家のひとり、ポール・シニャックを代表する作品『井戸端の女たち(井戸端のプロヴァンス嬢)』。新印象派の創始者であるジョルジュ・スーラが夭折した1891年の翌年に制作された、本作に描かれるのは、シニャックが数多く手がけた画題のひとつである海景の中、井戸で水を汲む女性たちである。現実の風景ではありえない理想郷(空想)的な世界観によって描写される本作の最も特徴的な、明瞭かつ軽快でありながら、複雑に、そして厳格に分割された色彩の豊潤な美しさは観る者の目を強く惹きつけるだけでなく、(当時としては)表現としての真新しさを顕著に感じさせる。その点では本作は、スーラへの尊敬と、氏が提唱した新しい表現手法≪点描表現≫への賛辞の念が込められたオマージュ的(又はある種のリスペクト的)な作品とも考えられる。画面中央では井戸の周りで水を汲む二人の女性が対称的に配され、その遠景には帰路に着く女性がひとり、両手に水瓶を持って丘を登っていく。この画面の大部分を支配している井戸や丘など大地の山吹色と対照的色彩で配置されるのは、画面最前景の草地(と女性らが手にしている水瓶)の緑色と、画面左部分の海景の青色である。双方ともアクセント的な鮮やかさで画面内へ効果的に配されているが、特に海景の陽光や灯台の光を反射した輝くような光の粒の表現は特に秀逸の出来栄えである。また最遠景の微かに望むことができる山々の繊細な色彩表現や、高度が上がるにつれ青々と色彩が変化してゆく空の美しさも本作の大きな見所である。


【全体図】
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女性が身に着ける衣服・帽子の山吹色と背後の海の青色の見事な対照性。本作は、スーラへの尊敬と、氏が提唱した新しい表現手法≪点描表現≫への賛辞の念が込められたオマージュ的(又はある種のリスペクト的)な作品とも考えられる。



【山吹色と青色の見事な対照性】
井戸の前で水を汲む女性。新印象派の創始者であるジョルジュ・スーラが夭折した1891年の翌年に制作された、本作に描かれるのは、シニャックが数多く手がけた画題のひとつである海景の中、井戸で水を汲む女性たちである。



【井戸の前で水を汲む女性】
アクセントとしても効果的な草地の緑色。画面の大部分を支配している井戸や丘など大地の山吹色と対照的色彩で配置されるのは、画面最前景の草地(と女性らが手にしている水瓶)の緑色と、画面左部分の海景の青色である。



【アクセントとしても効果的な草地の緑色】
微かに望むことができる山々の繊細な色彩。現実の風景ではありえない理想郷的な世界観によって描写される本作の最も特徴的な、明瞭かつ軽快でありながら、複雑に、そして厳格に分割された色彩の豊潤な美しさは観る者の目を強く惹きつけるだけでなく、(当時としては)表現としての真新しさを顕著に感じさせる。



【微かに望む山々の繊細な色彩】

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