2010/01/03掲載
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名所江戸百景 大はしあたけの夕立1857年(Great Bridge, Sudden Shower at Atake) 39cm×26cm | 大判錦絵・木版画 | 所蔵先多数 関連:フィンセント・ファン・ゴッホ作 『日本趣味 : 雨の大橋』
急ぎ足で大橋を渡る町人たち。本作は広重が最晩年に手がけた故郷江戸の名所を百図以上版画に起こした絵師自身最大規模の揃物の中の1点で、日本橋から深川を結ぶために隅田川(大川)へかけられた≪新大橋≫で降る夕立の情景を描いた作品である。
【急ぎ足で大橋を渡る町人たち】 濃淡の強弱をつけた線状の雨。2つの版木による線状の雨は決して風景を邪魔することなく、天から降る雨粒の速度と、雨特有の視界の遮りを同時に表現している。この漫画的な雨の形状的表現世界の中でも日本のみと評されており、世界中の芸術家を驚愕させると共に強く魅了した。
【濃淡の強弱をつけた線状の雨】 深度を感じさせる藍色によって表現される隅田川。本作が醸し出す独特の詩情性や抒情的雰囲気は≪名所江戸百景≫の中でも特に秀逸の出来栄えを示しているだけではなく、日本の特有の簡潔な美意識も感じることができる。
【藍色によって表現される隅田川】 |