Description of a work (作品の解説)
2010/01/03掲載
Work figure (作品図)
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名所江戸百景 亀戸梅屋敷

 1857年
(One Hundred Famous Views of Edo -The Plum Garden in Kameido-)
39cm×26cm | 大判錦絵・木版画 | 所蔵先多数

日本絵画史上最高の風景画家のひとり歌川広重の類稀な傑作『名所江戸百景 亀戸梅屋敷』。本作は広重が最晩年に手がけた故郷江戸の名所を百図以上版画に起こした絵師自身最大規模の揃物の中の1点で、江戸で高い人気を誇る梅見の名所地であった≪亀戸の梅屋敷≫の情景を描いた作品である。超近景的に画面中央へ梅の木が配されているが、極めて近接的に描かれているにも関わらず、不思議と野卑たる印象や小煩さは感じられない。それよりむしろ唐突として現れる梅の木の構図的軽妙感が観る者を驚かせ、同時に目と心を強く惹きつける。これは画面全体に占める近景(梅の枝)の絶妙な面積配分と画面上部の開放的な空間構成による部分が大きく、広重の類稀な構成力と均衡感覚を見出すことができる。そして中景としては梅屋敷に咲く梅の木々が、遠景には梅見をする見物人たちが配されており、観る者を奥へと惹き込む要素配置がおこなわれている。さらに本作では色彩表現に注目しても、画面上部の鮮烈な朱色の空から青々とした大地の緑色へと色彩の変化をさせつつ、人物が配される中央の桃白色が階調の受け渡しをおこない(色彩変化の)心地良さを生み出している。加えて近景として描かれる梅の木に用いられる黒灰色が画面全体を引き締める効果を発揮しており、色数自体は少ないものの全体として極めて完成度の高い色彩構成となっている。なお本作は後期印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホによって模写(模写作品『日本趣味 : 梅の花』)されたことから、外国でも広く認知されている。

関連:フィンセント・ファン・ゴッホ作 『日本趣味 : 梅の花』


【全体図】
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枝先で咲く香り立つような梅の花。本作は広重が最晩年に手がけた故郷江戸の名所を百図以上版画に起こした絵師自身最大規模の揃物の中の1点で、江戸で高い人気を誇る梅見の名所地であった≪亀戸の梅屋敷≫の情景を描いた作品である。



【枝先で咲く香り立つような梅の花】
超近景的に描かれる梅の木。超近景的に画面中央へ梅の木が配されているが、極めて近接的に描かれているにも関わらず、不思議と野卑たる印象や小煩さは感じられない。それよりむしろ唐突として現れる梅の木の構図的軽妙感が観る者を驚かせ、同時に目と心を強く惹きつける。



【超近景的に描かれる梅の木】
画面奥で梅見をおこなう民衆たち。画面上部の鮮烈な朱色の空から青々とした大地の緑色へと色彩の変化をさせつつ、人物が配される中央の桃白色が階調の受け渡しをおこない(色彩変化の)心地良さを生み出している。



【画面奥で梅見をおこなう民衆たち】

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