Description of a work (作品の解説)
2011/01/02掲載
Work figure (作品図)
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竹図襖

 (Bamboo) 1759年
各168.3×93cm | 襖絵四面・紙本墨画 | 鹿苑寺(金閣寺)

二十世紀末の再評価を経て、江戸時代中期において独創性豊かな絵師として益々重要視される伊藤若冲の類稀な傑作、重要文化財にも指定される鹿苑寺(通称金閣)大書院障壁画の中のひとつ『竹図襖』。動植綵絵の第一期とほぼ同時期の1759年(宝暦9年、若冲44歳)に若冲と交友のあった大典顕常を師とする龍門承猷の(鹿苑寺への)入寺祝いとして同院障壁画の注文を受け制作が開始された本作は、鹿苑寺大書院来訪時に最初に入ることになる狭屋之間の襖絵として(おそらくは障壁画制作の最後期に)手がけられた作品で、画題として古代中国で描く者の性格や感情表すとして非常に尊重されていた≪墨竹≫が描かれている。本作では四面中、中央を外し左右に墨竹が配されているが、その表現は驚くべきものだ。本作で描かれる竹幹は筆の勢いと擦れの効果を活かし、まるで糸遊が如く揺らめいているかのような姿で描かれており、竹独特の硬質的な表層の肌質はまるで感じさせず、竹の繊維によるしなやかな特性のみを強調している。伝統的な表現(例:尾形光琳作『竹梅図屏風』)を容易く逸脱する本作の墨竹表現であるが、絵師の個性を映す画題としての本質を考慮すると非常に興味深い。また本作では竹葉の描写においても若冲の独自性が示されており、特に撥筆によって三角形状に意匠化(パターン化)し、濃淡によって月光の様子を表す描写手法は観る者を強く魅了する。なお一部の研究者からは牧谿の『観音猿鶴図』からの影響が指摘されている。

関連:鹿苑寺大書院障壁画 『葡萄図襖絵』


【全体図】
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糸遊が如く揺らめく竹幹。1759年に龍門承猷の(鹿苑寺への)入寺祝いとして同院障壁画の注文を受け制作された本作は、鹿苑寺大書院来訪時に最初に入ることになる狭屋之間の襖絵として(おそらくは障壁画制作の最後期に)手がけられた作品である。



【糸遊が如く揺らめく竹幹】
緩やかな曲線の妙。本作で描かれる竹幹は筆の勢いと擦れの効果を活かし、まるで糸遊が如く揺らめいているかのような姿で描かれており、竹独特の硬質的な表層の肌質はまるで感じさせず、竹の繊維によるしなやかな特性のみを強調している。



【緩やかな曲線の妙】
高度に意匠化された竹葉。本作では竹葉の描写においても若冲の独自性が示されており、特に撥筆によって三角形状に意匠化(パターン化)し、濃淡によって月光の様子を表す描写手法は観る者を強く魅了する。



【高度に意匠化された竹葉】

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