Description of a work (作品の解説)
2009/01/02掲載
Work figure (作品図)
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桐鳳凰図屏風

 (Phoenix and Paulownia) 17世紀中頃
各158.2×377.6cm | 六曲一双・紙本金地着色
サントリー美術館(東京)

17世紀の江戸を代表する狩野派の絵師、狩野探幽の傑作『桐鳳凰図屏風(きりほうおうずびょうぶ)』。様々な説が唱えられているものの、一般的に六代将軍徳川家綱(又は親藩徳川家)の婚礼の際に制作されたとする説が有力視される本作は、古代中国の伝説の鳥であり、麒麟、霊亀、応龍と共に四瑞(四霊)として慶事の画題に重宝された≪鳳凰(四瑞では平安を意味する)≫を描いた六曲一双の屏風絵で、鳳凰は梧桐の樹に棲むと伝えられていることから、鳳凰を描く際には桐も対の画題として一緒に描かれる。右隻には五色絢爛な羽毛が非常に美しい番いの鳳凰と幼鳳が仲睦まじそうに配されており、中央には穏やかに流れる流水が、画面右側には重厚風靡な梧桐と岩が、そして画面上部には金砂子を用いた黄金に輝く雲が配されている。そして左隻には白い羽毛の鳳凰が視線を交わらすかのように番いで描かれ、一方は硬質的な岩の上で身体を休め、もう一方の鳳凰は優雅に宙を舞っている。流水は上下を分けるかのように並行的に配され、画面最左側には薄紫色の可憐で清楚な花を咲かせた梧桐が慎ましやかに描き込まれている。画面全体に金箔を押した金地濃彩の表現が豪奢で優美な雰囲気を醸し出すものの、祖父永徳の桃山様式とは異なり、満ちるほど用いられた余白と曲線的な構成要素の配置に、軽みの極みとも言える瀟洒淡白な探幽様式の典型を見出すことができる。また本作は狩野派における形の継承(戦後、狩野派批難の大きな要因となった粉本)を考察する上でも特に重要視される作品で、本作とほぼ同構図の屏風絵を17世紀後半に狩野常信が、19世紀初頭には狩野伊川栄信が制作している。

関連:『桐鳳凰図屏風』全体図左隻拡大図右隻拡大図


【全体図】
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軽やかに宙を舞う鳳凰の優美な姿。様々な説が唱えられているものの、一般的に六代将軍徳川家綱(又は親藩徳川家)の婚礼の際に制作されたとする説が有力視される本作は、四瑞では平安を意味する≪鳳凰≫を描いた六曲一双の屏風絵である。



【軽やかに宙を舞う鳳凰の優美な姿】
硬質的な岩の伝統的表現。左隻には白い羽毛の鳳凰が視線を交わらすかのように番いで描かれるほか、流水は上下を分けるかのように並行的に配され、画面最左側には薄紫色の可憐で清楚な花を咲かせた梧桐が慎ましやかに描き込まれている。



【硬質的な岩の伝統的表現】
画面の中を緩やかに流れる清水。右隻には五色絢爛な羽毛が非常に美しい番いの鳳凰と幼鳳が仲睦まじそうに配されており、中央には穏やかに流れる流水が、画面右側には重厚風靡な梧桐と岩が、そして画面上部には金砂子を用いた黄金に輝く雲が配されている。



【画面の中を緩やかに流れる清水】
重厚風靡な梧桐の樹。画面全体に金箔を押した金地濃彩の表現が豪奢で優美な雰囲気を醸し出すものの、満ちるほど用いられた余白と曲線的な構成要素の配置に、軽みの極みとも言える瀟洒淡白な探幽様式の典型を見出すことができる。



【重厚風靡な梧桐の樹】

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