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エテロの娘たちを救うモーセ (Mose difende le figlie)
1523年頃| 160×117cm | 油彩・板 | ウフィツィ美術館 |
フィレンツェ滞在時代最後の作品と推測されているロッソ・フィオレンティーノ屈指の代表作『エテロの娘たちを救うモーセ』。ジョヴァンニ・バンティーニの依頼により制作された本作の主題はユダヤの指導者で立法者でもある≪モーセの生涯≫の一場面であるが、それは当時、ロッソ・フィオレンティーノの最も関心の寄せていた主題でもあり、芸術家列伝の著者ヴァザーリによればロッソ・フィオレンティーノは、このモーセの生涯をかなり詳細に研究していたとされている。またシスティナ礼拝堂の天井画やヴァチカン宮殿内壁画の影響も指摘されていることから、一部ではフィレンツェの後に滞在したローマ時代に描かれたものだと見解を示す研究者もいる。本作では本場面は旧約聖書「出エジプト記」の第2章11-12節に記されている、エテロの娘たちを救ためにエジプト人を殴り倒すモーセを主題としながらも、勝利したモーセがチッポラに向かってミデヤンの羊飼いたちを井戸から追い払う場面という側面も持つ。
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