2010/09/07掲載
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鷲の軍旗の授与(シャン・ド・マルスにおける軍旗授与)(Distribution des Aigles au Champ-de-Mars) 1808-1810年 610×970cm | 油彩・画布 | ヴェルサイユ宮国立美術館
鷲の軍旗を与える皇帝ナポレオン。1808年から1810年と2年もの歳月をかけて制作された本作は、皇帝に即位した戴冠式の3日後となる1804年12月5日に、パリ市内シャン・ド・マルスの広場(公園)で、フランス軍108の連隊及び国家警備隊へ、勝利、ひいては皇帝ナポレオン自身を象徴する鷲(ワシ)の旗章の入った軍旗を提示・授与した≪鷲の軍旗の授与≫という歴史上の一場面を主題とした歴史画作品である。
【鷲の軍旗を与える皇帝ナポレオン】
皇帝に熱狂するフランス軍兵士たち。画面左側へは自身の戴冠式と同衣服を身に着けた皇帝ナポレオンが王の象徴たる黄金の杖を片手に画面右側のフランス軍兵士を指差し、鷲の軍旗を授与する姿が描かれ、画面右側には軍旗を授与され熱狂に酔いしれるフランス軍兵士たちが三色旗と黄金の鷲がついた槍を皇帝に向かい掲げながら愛国心と忠誠心を示している。
【皇帝に熱狂するフランス軍兵士たち】
掲げられる三色旗と黄金の鷲の槍。本作のあまりにも出来過ぎた場面描写や、フランス軍の永遠の勝利を約束する神の啓示にも似た本情景には、ある種のプロパガンダ(思想誘導の為の宣伝)を感じずにはいられないものの、全体主義的なスケール感の大きい構成や細部の卓越した描写などには一見の価値を見出すことができる。
【掲げられる三色旗と黄金の鷲の槍】 |