2009/12/02掲載
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恩知らずの息子(父親の呪い)(Fils imgrat) 1777年130×162cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) 関連:対画 『罰せられた息子』
母の制止を振り切る若い男。本作は1765年に水彩で手がけた2点の対画作品『恩知らずの息子(父親の呪い)』『罰せられた息子』を、画家自らが1777年に油彩画として再制作した作品のひとつで、画題として当時フランスで社会問題化していた≪新兵募集に身売りする若者≫が取り上げられている。
【母の制止を振り切る若い男】
軍隊入りを辞めるよう哀願する男の妻。本作の若い男の周囲には、抱きつき家出を阻止するヴェールを被った母親や、軍隊入りを辞めるよう懇願する妻、そして足下に縋りつく幼い息子が配されているが、最右部にはまるで無頼漢のような兵卒が描き込まれている。
【軍隊入りを辞めるよう哀願する妻】
息子の行動に激怒し呪うような仕草を示す父親。画面左側には息子の行動に激怒し、椅子に腰掛けながら勘当を示すかのような(※呪いをかけるような)仕草を息子に向ける父親と、父の腕を押さえながら必死になだめる娘が配されている。
【呪うような仕草を示す父親】
必死に父をなだめる娘。本作に示されるやや大げさな登場人物の仕草や強い光彩は本画題の物語性や劇的様子を強調する効果を生み出しており、観る者を強く惹きつけさせる。さらに時事を巧みに反映させた道徳的展開はグルーズの十八番とも言える作品構成であり、本作には画家の典型が示されている。
【必死に父をなだめる娘】 |