2009/12/29掲載
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罰せられた息子(Fils puni) 1777年130×162cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) 関連:対画 『恩知らずの息子(父親の呪い)』
悔いながら帰還する放蕩息子と温かく迎え入れる母親。画面右側へは自身の愚かな行いを悔いるかのように手で涙を拭いながら自宅へ帰還する放蕩息子と、それを温かく受け入れ、家の中へと迎え入れる老いた母親の姿が感情豊かに配されている。
【帰還する息子と迎え入れる母親】
死した父の足下で泣き崩れる幼い少年。本作は放蕩三昧の末に自身を新兵応募に身売りする当時フランスで社会問題化していた若い男を主題とした『恩知らずの息子(父親の呪い)』のその後として、放蕩息子が対立していた父の臨終に帰還する場面を描いた作品である。
【死した父の足下で泣き崩れる少年】
死した父と天を仰ぐ息子の妻。画面左側へは息子と対立していた頃の面影を全く感じさせないほど痩せ衰えた亡き父のベッドに横たわる姿が配されており、その手前には義父の死に天を仰ぐ放蕩息子の妻や子供が描かれている。
【死した父と天を仰ぐ息子の妻】 必死に父に呼びかける娘。対画となる『恩知らずの息子』同様、強い明暗対比と通俗的にすら感じられるほど非常に誇張された感傷性は、本作の訓示的かつ道徳的な意味合いを効果的に強調することに成功しており、観る者に深い感銘を与える。
【必死に父に呼びかける娘】 |